極彩色の祈り

「プレノ~!」
「す、スミア⁉」
 孤児院に戻ると、扉の所にスミアとシエルが待ち構えていて、スミアが私に飛びついてきた。私はその勢いに後ろへよろめきながらも抱き留める。
 あの後、クルスたちを厩舎へ帰した私たちは、そこで別れた。ルヨ様がもうすでに連絡をしてくれていると教えてくれた。また後日必ず会うことを約束し、私たちは別れた。
「プレノは帰ってこないし、スズに聞いたらプレノは遅れてもかまわないっていう院長様からのお達しがあったと言うし、貴方一体何していたの⁉」
「落ち着いて、スミア。まだ風邪ひいているんでしょ、ちゃんと休んでないと」
「プレノに何かあったのではないかと心配だったのよ!」
 スミアがバタバタと足をばたつかせる。私はあわあわとすることしかできない。今日一日一緒にいたはずのシエルのほうをむけば、シエルはやれやれと肩をすくめている。
「これでも抑えた方なんだ。本当は昼からずっとうずうずしてたんだぜ。夕食の時間になっても帰ってこないからもう我慢できないって」
 シエルも苦労していたのか、少し疲れた表情をしていた。私はばたつこうとするスミアの頭をポンポンと叩く。
「スミアー。少し熱上がってきてない? 興奮しすぎ。落ち着いて」
「落ち着けないっ!」
「もう。これ以上暴れるんだったら騎士様に頼んで無理やりベッドに運んでもらうからね。ついでにあと二日はベッドで休むように。これ絶対」
「うう~」
 涙目でこちらを睨んで来るが、私には関係ない。こんなの気にしたらだめだ。扉の側に立っていた騎士様を見上げると、騎士様は苦笑する。そしてスミアを抱き上げた。
「この子の部屋に連れて行ったらいいのかい?」
「はい。すみません、面倒ごとを頼んでしまって。お願いします」
「気にすることは無いよ。その代わり、シエル、君はここで少し見張りを頼むよ」
「はっ」
 シエルが騎士の敬礼をし、騎士様がそれに敬礼を返してスミアを抱いたまま帰っていく。シエルが先ほど騎士様がいたところに立ち、騎士様と同じ姿勢になった。そのまま、私のほうを見ずに話し始める。
「今日はどこに?」
「呪いのことを調べてた」
 答えになっていない、と言いたかったのだろう、ぐっと一瞬言葉に詰まったような音を出してから、はー、と息を吐き出す。
「誰と?」
「言えない」
「隠し事ばっかりだな」
「今日のは少し」
「そうか」
 シエルはそれ以上詮索しようとしなかった。私はシエルの横顔を見上げる。シエルは心ここにあらずと言う表情をしていた。全体を俯瞰できるようにしているのだろうか。
「シエルは詳しく聞かないよね。なんで?」
「賢いプレノのことだ。ちゃんと俺が介入できるようになったら、教えてくれるんだろう? 今は俺が介入しても仕方がない状況で、逆に混乱するから」
「あー……そこまで考えてなかった。軽く口に出しちゃいけない人とやったから……」
 シエルは、は⁉ と一瞬叫びかけてから、ぎゅっと口をつぐむ。私は苦笑した。
「でも、そうだね。話せるときになったら話すよ」
「ああ、待ってる」