極彩色の祈り

 そしてアネリーゼ様の手が離れたときにさっと後ろに飛びのき、ゆっくりと息を吐く。アネリーゼ様は慌てたように胸の前で自分の手をひらひらさせ、もう何もやらないことを示す。
「落ち着け、そう怒るな。私はプレノのことがもっと知りたいだけだよ。真正面から尋ねたとて、君がそうやすやすと教えてくれるはずがないだろう?」
 ぐ、と言葉に詰まる私を横目で見ながら、プロン様がドアを開け始めた。私の興味がそちらへと逸れる。アネリーゼ様も、そちらの方へ向き直り、すたすたと中に入っていく。ルヨ様がそれに続こうとして立ちすくんでいる私に気づく。とん、と優しげに私の肩をたたき、
「プレノ。入って構いませんよ。一緒に入りますか?」
 私はルヨ様の心遣いに感謝し、こくりと頷いて、ルヨ様の隣に並んでその部屋に入る。その部屋は電気がついておらず、カーテン越しにぼんやりと差し込む日光、それから壁に備え付けられている蠟燭の灯りくらいしか光源がなかった。
「少し薄暗い方が私としては心地よいのだが、プレノは落ち着かないかい?」
 彼女が使い込んでいるのであろう、少し古ぼけたカウチにアネリーゼ様が腰を下ろしながら私に尋ねる。私はいいえ、と答えた。その直後に扉を締め切った音が聞こえ、こちらへプロン様が歩いてくる。
 私はアネリーゼ様の前に跪く。ルヨ様とプロン様はアネリーゼ様のカウチの左右に立った。アネリーゼ様の瞳が鋭い光を孕む。先ほどまでアネリーゼ様が発していた穏やかな雰囲気が一瞬にして失せ、獲物を狩る猛獣のような緊迫した雰囲気が現れ、アネリーゼ様を包む。私はゴクリ、と息を飲む。
 アネリーゼ様が親し気に話しかけてきてくださるから忘れかけていたが、本来話すことすら叶わないほど上下関係があるのだ。気を許しすぎてはならない。もっと気を引き締めなければ。
「プレノ。君に聞きたいことや話したいことが多くある。時間を取らせてしまうことになるが、かまわないかい? 最悪の場合、門限までに孤児院に帰れない可能性もあるだろう。こちらから話は通すつもりだし、君にとってこの話し合いは有意義なものになるだろうと思う。どうだい?」
 門限までに孤児院に帰れない場合、孤児たちはペナルティを課せられる。例えば、どこかの掃除をやらされたり、小さい子供の面倒を見させられたり、買い出しに行かされたりする。
 しかし、アネリーゼ様が話を通すと言っている。つまり、そのペナルティは課せられないと見て間違いはないはずだ。そして、ここに来た本来の目的を忘れてはならない。私は、私の持つ呪いについて調べたかった。それが恐らく、アネリーゼ様が言う有意義なものになる理由のはずだ。
「勿論でございます」
 私がそう返すと、アネリーゼ様は重々しく頷く。そして、足を組む。ついでに両手も組んで、その熊れたての上に顎をのせて私をじっと見つめる。