「これはよくまとめられていますね」
ルヨ様が私が書き留めたメモを見ながらほめてくれる。私は、ありがとうございます、と礼を言った。今、私はアネリーゼ様とプロン様に先導されて、どこか違う部屋へ行っている。どこに向かうかは全く見当もつかない。
ルヨ様は、私の隣で歩いてくれることになったのだが、私がきょろきょろしながら書き留めているのを見て、少し見せてくれないかとルヨ様のほうから頼んできたのだ。断る理由もなく、ルヨ様にメモを手渡したら賞賛されたというわけだ。
「これも、情報部隊の者に?」
「いえ、これは私が考えたものです。私……とある事情で人とは違うので、そこをいろいろな手段で補うしかなくて……とりあえず、観察の習慣だけでもつけようと思って」
ルヨ様はなおも感心したようにうなずく。そこまで高評価を得られるとは思わなくて、私はてれながら歩いていた。だから、アネリーゼ様が面白がるような表情で、プロン様が少しだけ冷めた目つきでこちらを見ていることに気づくのが遅れた。
「……すみません」
「謝る必要はない。ついたぞ」
プロン様は私の言葉を一蹴し、彼の前方に手をさし向ける。そこには、これまた豪華な扉があった。
いや、図書室のものより豪華な気がする。まず、金属の取っ手がついている、これは引き戸だろうか。先ほどのように回して開けるタイプではない。そして、その取っ手が金でできているうえに装飾が凝っている。
私は思わず近づいて、メモを取ろうとして、メモ帳がないことに気づく。すると、タイミングよくスッとメモ帳が戻ってきた。すぐにそれを受け取って、私はじっくりと取っ手を見る。
普通のおしゃれな取っ手だが、オリジナリティを出しているのは取っ手に巻き付くようにつけられた蔦のモチーフ、それにその蔦に留まっている蝶のモチーフだ。そして、ドアの彫り込みもすごくて……
「あ」
私は恐る恐る、ゆっくりとした動作で後ろを振り向いて……こちらを見ている三人と、目が合った。私は思わず頭が真っ白になる。すっかり三人のことを忘れていた。なぜ忘れたのだろうか?
「いや、プレノの雰囲気が変わったから、気配を消してみれば、熱中して観察しだすものだから……驚いたよ、そんな表情もできるのだね」
アネリーゼ様がにやにやしながらこちらを見ている。この短時間でわかったのは、アネリーゼ様が意外と悪戯好きの性格であること、切り替えがうまいこと、気配を消すなど身体能力が優れていること、カリスマ性があることなど。ルヨ様とプロン様も気配を消していたのは、アネリーゼ様がそう命じたからだろう。彼女は私を観察して面白がろうとしたのだろうか。
私が不機嫌そうにしていることはすぐに察したのだろう、アネリーゼ様はわしゃわしゃと私の頭をなでる。わ、わ、と思わず声を発してしまいながら、何とかその時間をやり過ごす。
ルヨ様が私が書き留めたメモを見ながらほめてくれる。私は、ありがとうございます、と礼を言った。今、私はアネリーゼ様とプロン様に先導されて、どこか違う部屋へ行っている。どこに向かうかは全く見当もつかない。
ルヨ様は、私の隣で歩いてくれることになったのだが、私がきょろきょろしながら書き留めているのを見て、少し見せてくれないかとルヨ様のほうから頼んできたのだ。断る理由もなく、ルヨ様にメモを手渡したら賞賛されたというわけだ。
「これも、情報部隊の者に?」
「いえ、これは私が考えたものです。私……とある事情で人とは違うので、そこをいろいろな手段で補うしかなくて……とりあえず、観察の習慣だけでもつけようと思って」
ルヨ様はなおも感心したようにうなずく。そこまで高評価を得られるとは思わなくて、私はてれながら歩いていた。だから、アネリーゼ様が面白がるような表情で、プロン様が少しだけ冷めた目つきでこちらを見ていることに気づくのが遅れた。
「……すみません」
「謝る必要はない。ついたぞ」
プロン様は私の言葉を一蹴し、彼の前方に手をさし向ける。そこには、これまた豪華な扉があった。
いや、図書室のものより豪華な気がする。まず、金属の取っ手がついている、これは引き戸だろうか。先ほどのように回して開けるタイプではない。そして、その取っ手が金でできているうえに装飾が凝っている。
私は思わず近づいて、メモを取ろうとして、メモ帳がないことに気づく。すると、タイミングよくスッとメモ帳が戻ってきた。すぐにそれを受け取って、私はじっくりと取っ手を見る。
普通のおしゃれな取っ手だが、オリジナリティを出しているのは取っ手に巻き付くようにつけられた蔦のモチーフ、それにその蔦に留まっている蝶のモチーフだ。そして、ドアの彫り込みもすごくて……
「あ」
私は恐る恐る、ゆっくりとした動作で後ろを振り向いて……こちらを見ている三人と、目が合った。私は思わず頭が真っ白になる。すっかり三人のことを忘れていた。なぜ忘れたのだろうか?
「いや、プレノの雰囲気が変わったから、気配を消してみれば、熱中して観察しだすものだから……驚いたよ、そんな表情もできるのだね」
アネリーゼ様がにやにやしながらこちらを見ている。この短時間でわかったのは、アネリーゼ様が意外と悪戯好きの性格であること、切り替えがうまいこと、気配を消すなど身体能力が優れていること、カリスマ性があることなど。ルヨ様とプロン様も気配を消していたのは、アネリーゼ様がそう命じたからだろう。彼女は私を観察して面白がろうとしたのだろうか。
私が不機嫌そうにしていることはすぐに察したのだろう、アネリーゼ様はわしゃわしゃと私の頭をなでる。わ、わ、と思わず声を発してしまいながら、何とかその時間をやり過ごす。



