記憶の中の彼女

 そんな理由は、わかってしまう。自分が同じような事が起きても間違いなく驚く自信がある様な、そんな出来事だからだった。
「私は、きっと和也くんの事が好きになる、そんな運命だったんだって」
 それは、もしかしたら他人が見ていたらとてもあっさりとした内容の告白だったと思うだろうか。実際にそう言い出すのだろうか。
 けれど今、和也がそれを耳にした時。今まで以上に大きな胸の高鳴りを感じたのだ。
「私はあなたと一緒にこれからも歩んでいきたいって思う」
 凛は、そうして想いを伝える。
 ここまで来たら、自分もちゃんと想いを伝えないといけない。この、想いを。
「うん、それは俺も同じだ。凛と、ずっとこれからも歩んでいきたい」
 高校二年の秋。
 これは、きっとこの十七年間で最大の思い出だった。あの時の公園の思い出と繋がる大きな、大きな思い出。
 これからも、この思い出はずっと一番大切なものなのだろう。


  終わり