話し合いに参加した上で、全く役に立てなかった。それが非常に重くのしかかる。凛の困っているのがよくわかる、あの表情……やっぱり気になってしまう。
「おーい、和也―できたぞ」
そんな事を考えていると、龍が問題を見せて出来たというアピールをしているのに気づく。
「……あ、ああ」
和也はその問題が書かれたノートを受け取る。そこに書かれている解答は……一目見る感じだと大分出来ている。多分、間違いより正解が多いくらいだと予想してみる。そして、実際の解答と照らし合わせてみる。予想通り、正解が間違いの数を上回っていた。
「正解が増えてる。やるじゃん」
「お! マジか!」
和也が伝えた結果に龍は嬉しそうに、少しはしゃぐ様子を見せる。大きくはないのは、ここが図書室である事をわかった上での事だ。はた迷惑な部分もありながらも流石に、その辺りの良識的なものはわきまえているのだと、和也は思う。
「ところでさ、割とぼーっとしてる様子だけど昨日のアレは上手くいかなかったのか?」
「あ……まあ、そうだな」
龍にも気づかれるぐらいの様子だったのか。和也は少し恥ずかしいと内心思いながらも答える。少し、不器用だったかもしれないが。
「まあ、凛ちゃんにあそこまで付き合える辺り本当にお前気になってるんだなって」
「なっ、そんな訳ねーだろ! 下心で付き合っているわけじゃないから」
龍の指摘に、和也はかなり動揺した。気があって、一緒に行動している訳ではないのだから本当に失礼なものだと思う。
「でもよ? 凛ちゃんは絶対良い子だけど、予定変えてまで彼女に付き合うのはむしろ彼女が不安になっちゃうだろ。昨日もだけどさ」
「あ……それも、そうか」
凛には龍との勉強会の話をしている上で、昨日の話し合いに参加させてほしいとまで言っていると、確かに凛から見れば自分のために和也自身が予定を変えてまで献身的にやっていると少し不安なのもあるだろう。
そこは、反省しないといけない気がする。龍がこう、気を回すなんて事は中々無かったからこそ意外な面もあるのだな、と感じた。
「まあ? ぶつかりあってもしょうがないんだから上手い事折り合いをつければ良いってこった」
「そ、それも……そうか」
龍の言う事はかなりある、と和也は感じた。だからこそ、考え過ぎても仕方ないかもしれない。
そこで、和也は龍の言葉に引っ掛かりを覚える。
『上手い事折り合いをつければ良いってこった』
そうだ、昨日の話し合いを経由した上で和也はこの言葉にとても引っ掛かりを覚える。
皆のやってみたい事を尊重した上で、あえて全てを欲張りに出来る様に動ければ良いのではないか……? そんな発想が和也の中で生まれつつあった。
「そっか……そうだ!」
「うぉっ?! 何だ急に」
いきなり立ち上がった和也に龍は驚きを隠せない様子だった。
龍を驚かせたのは悪いけど、今すぐ彼女に伝えておきたい。和也は迷わずに机に広げた荷物をカバンの中に入れていく。
「悪い! 今日の勉強会はここで終わりだ!」
「え?! ちょ、本当にどうしたんだよ!!」
和也は、困惑する様子の龍を置いて図書室を飛び出していく。彼には本当に悪いが後でも良いから説明しておけばいいだろう。和也は今すぐ、彼女にこの案を伝えなくては。そんな気持ちでいっぱいだった。
この方法なら、もしかしたら上手く事が進むかもしれない。和也は急いで凛がいるであろう家庭科室へと向かっていった。
真っすぐに家庭科室へ駆け出していた。
和也は、急に来られてビックリされるだろうとは思いつつも、勢いついて出て行った以上何だが止められないという気持ちも強かった。何よりこの方法なら上手い事行くかもしれない、と思えばすぐにでも伝えなければ、という思いが強くなっていた。
家庭科室前に辿り着いた時、部屋の中からは何かの声が聞こえる。
「……から! そう……で!!」
「いや……そ……は……!」
扉越しなので、声が少しこもっていて微妙に聞き取りづらいものの恐らく言い争いをしている様子だろう。昨日の通りなら、今日も展示についての話し合いをしているのは間違いない。
正直、ここで納得されなかったら完全にここまでの行動が無駄になるだろう。というか、白い目で見られてもおかしくない気はする。
けれど、やはり凛の様子を見るとこのまま平行線のまま文化祭まで行くのは絶対に良くないと思う。和也は決心してノックをする。
「……あれ、高野くん?! どうしたの!」
ノックしてからしばらく経って凛が出てくる。和也はその瞬間、
「伊豆野さん! 展示について良い案を思いついたから皆に伝えてほしい!!」
冷静になる様にと内心思いながらも、少し興奮気味に和也は凛にまず、そう伝えた。
「……あえて、ごちゃまぜにする?」
「おーい、和也―できたぞ」
そんな事を考えていると、龍が問題を見せて出来たというアピールをしているのに気づく。
「……あ、ああ」
和也はその問題が書かれたノートを受け取る。そこに書かれている解答は……一目見る感じだと大分出来ている。多分、間違いより正解が多いくらいだと予想してみる。そして、実際の解答と照らし合わせてみる。予想通り、正解が間違いの数を上回っていた。
「正解が増えてる。やるじゃん」
「お! マジか!」
和也が伝えた結果に龍は嬉しそうに、少しはしゃぐ様子を見せる。大きくはないのは、ここが図書室である事をわかった上での事だ。はた迷惑な部分もありながらも流石に、その辺りの良識的なものはわきまえているのだと、和也は思う。
「ところでさ、割とぼーっとしてる様子だけど昨日のアレは上手くいかなかったのか?」
「あ……まあ、そうだな」
龍にも気づかれるぐらいの様子だったのか。和也は少し恥ずかしいと内心思いながらも答える。少し、不器用だったかもしれないが。
「まあ、凛ちゃんにあそこまで付き合える辺り本当にお前気になってるんだなって」
「なっ、そんな訳ねーだろ! 下心で付き合っているわけじゃないから」
龍の指摘に、和也はかなり動揺した。気があって、一緒に行動している訳ではないのだから本当に失礼なものだと思う。
「でもよ? 凛ちゃんは絶対良い子だけど、予定変えてまで彼女に付き合うのはむしろ彼女が不安になっちゃうだろ。昨日もだけどさ」
「あ……それも、そうか」
凛には龍との勉強会の話をしている上で、昨日の話し合いに参加させてほしいとまで言っていると、確かに凛から見れば自分のために和也自身が予定を変えてまで献身的にやっていると少し不安なのもあるだろう。
そこは、反省しないといけない気がする。龍がこう、気を回すなんて事は中々無かったからこそ意外な面もあるのだな、と感じた。
「まあ? ぶつかりあってもしょうがないんだから上手い事折り合いをつければ良いってこった」
「そ、それも……そうか」
龍の言う事はかなりある、と和也は感じた。だからこそ、考え過ぎても仕方ないかもしれない。
そこで、和也は龍の言葉に引っ掛かりを覚える。
『上手い事折り合いをつければ良いってこった』
そうだ、昨日の話し合いを経由した上で和也はこの言葉にとても引っ掛かりを覚える。
皆のやってみたい事を尊重した上で、あえて全てを欲張りに出来る様に動ければ良いのではないか……? そんな発想が和也の中で生まれつつあった。
「そっか……そうだ!」
「うぉっ?! 何だ急に」
いきなり立ち上がった和也に龍は驚きを隠せない様子だった。
龍を驚かせたのは悪いけど、今すぐ彼女に伝えておきたい。和也は迷わずに机に広げた荷物をカバンの中に入れていく。
「悪い! 今日の勉強会はここで終わりだ!」
「え?! ちょ、本当にどうしたんだよ!!」
和也は、困惑する様子の龍を置いて図書室を飛び出していく。彼には本当に悪いが後でも良いから説明しておけばいいだろう。和也は今すぐ、彼女にこの案を伝えなくては。そんな気持ちでいっぱいだった。
この方法なら、もしかしたら上手く事が進むかもしれない。和也は急いで凛がいるであろう家庭科室へと向かっていった。
真っすぐに家庭科室へ駆け出していた。
和也は、急に来られてビックリされるだろうとは思いつつも、勢いついて出て行った以上何だが止められないという気持ちも強かった。何よりこの方法なら上手い事行くかもしれない、と思えばすぐにでも伝えなければ、という思いが強くなっていた。
家庭科室前に辿り着いた時、部屋の中からは何かの声が聞こえる。
「……から! そう……で!!」
「いや……そ……は……!」
扉越しなので、声が少しこもっていて微妙に聞き取りづらいものの恐らく言い争いをしている様子だろう。昨日の通りなら、今日も展示についての話し合いをしているのは間違いない。
正直、ここで納得されなかったら完全にここまでの行動が無駄になるだろう。というか、白い目で見られてもおかしくない気はする。
けれど、やはり凛の様子を見るとこのまま平行線のまま文化祭まで行くのは絶対に良くないと思う。和也は決心してノックをする。
「……あれ、高野くん?! どうしたの!」
ノックしてからしばらく経って凛が出てくる。和也はその瞬間、
「伊豆野さん! 展示について良い案を思いついたから皆に伝えてほしい!!」
冷静になる様にと内心思いながらも、少し興奮気味に和也は凛にまず、そう伝えた。
「……あえて、ごちゃまぜにする?」



