和也はどう説明しようか、少し悩んだ。凛がまだ校舎にいるのは前に話していた文化祭の準備であることは流石に察せられるが、そういえば凛には龍との勉強会の事を話した事はない。
別に、秘密ではないのだがどう説明しようか、少し悩ませてしまうのだった。
「まあ、勉強ってやつかな……?」
「高野くんって凄い勉強家なのね! ……あ、もしかしてあの日も?」
「あの日って……」
多分、あの日は初めて出会った日の事だろうなと考えた和也はそれに合わせた返答をする。
「……まあ、そんな感じ」
「そっか。高野くんは勉強結構頑張るタイプか~」
そう言われると、確かにそうなのかもしれない。
龍がわかりやすいけど、周囲の友人に自分程長く勉強をする様な人間ってそんないないのは経験上確かだった。
……まあ、そこまで長い事やって最上位の成績という訳ではないのだが。あくまで少し吸収率が悪い物覚えをどうにかするために、長めに勉強をしているという訳ではあるが。
「……あー、確かに。そうかも」
「うん、そうなんだって! でもそれって結構凄い事よ!」
彼女は、そう言ってくれた。
多分、凛からしたらそこまで特別な会話では無いのかもしれないけど、和也からしてみるとそういう風に言ってくれるのは、なんだか嬉しかった。
「そういえば、前に話してた友だちとの問題って解決したの?」
そのまま凛に一緒に帰ろう、と言われた和也はその道中で凛にそんな事を聞かれた。
「あ、そういえば……」
問題が解決したかと言われたら、決してそんな事が無いのは今朝の事を考えると間違いない。今日の勉強会こそ、凛との事を言わせないようにキツめにやったお陰で龍も勉強に集中してもらえたのだが。
ほんの少しでも刺激が入ると、結構不味い状況なのは確かだ。龍が男女交際的な縁が殆どない事は知っていたが、まさかあそこまでこじれているとは思わなかったわけだが……。
「ちょっと困っている、かな……」
「えっ! 結構困ってるの?」
そう伝えると、凛は少し心配した様子を見せる。
「……もし、そうなら今度時間をくれないかな?!」
「えっ?!」
急に、予定を聞かれた和也は驚く。まさか凛からそんな事を言われるとは思いもしなかったのだ。
「大丈夫! 私がなんとかして見せるから!」
けれど、自信満々に笑顔で言う凛を見ては少し断りにくい気がしてしまった。
*
そんな事があった数日後の昼休み。
「城築くん、で良いのかな? よろしく」
「おっおぉ……よろしく、俺の事は龍でも大丈夫だから」
龍の方は少しニヤニヤを隠せていないが、龍と凛が話している。その間に和也はいたのだが、現状何も話し出せていない。なんだか、割って入りにくいと思うのだ。
この間、凛が龍と話してどうにかしてみるという頼みを断らなかったのは言わずもがな。凛の方も龍絡みで面倒な事が起きているのは一度教室に来てもらった時になんとなく気づいてはいると思うのでこの提案をしてくれたのもなんとなくわかる。
……けれど龍に「お前と話したい女子がいるって話だから来てほしい」みたいな感じでこの話を振ったら、この間と似たような反応をされてなだめるのが大変ではあったのだが。
「ところで昼食がまだだったら、折角だし一緒に食べながら話をしたいわけだけど」
「お、おぉ?! まだなので是非喜んで!!」
ちなみに龍はこの時点で昼食を食べ終わっている。始まってすぐに持参していた弁当を一気に食べ終わったのを和也は見ていた。けれど、凛も凛で結構前のめりにやっていて内心ヒヤヒヤしている。
いきなり昼食一緒に食べるのを誘う……それも異性に対しては、舞い上がるのは多いだろう。今の龍みたいに。
「あ、高野くんも一緒になると思うんだけど良い?」
「お……まあいいか」
和也はその反応から龍のテンションが少し下がったな、と勘づく。
とりあえず、そこから昼食を取る事になったものの和也の思っていた以上に円滑に話しが進んでいた。
凛は龍の趣味の話について聞く所から初めて、少しずつそこから話を広げていっているの。
「へえ~……そういうのもあるんだ」
「そうそう! それでな……」
ちなみに凛は和也経由で龍の趣味が何なのかを既に聞いていた。というのも、あの日凛が時間を欲しい、と言われた日。
『その友達について知ってる事……例えば趣味辺りとか教えて欲しいな』
そう、聞かれたのだ。一応、和也はその時龍がどんな事をやってるか、とかみたいな情報を教えてはいたのだが、こういう形で活かされるとは思いもしなかった。
「そうだ凛! 教えて欲しい事があるのだが」
別に、秘密ではないのだがどう説明しようか、少し悩ませてしまうのだった。
「まあ、勉強ってやつかな……?」
「高野くんって凄い勉強家なのね! ……あ、もしかしてあの日も?」
「あの日って……」
多分、あの日は初めて出会った日の事だろうなと考えた和也はそれに合わせた返答をする。
「……まあ、そんな感じ」
「そっか。高野くんは勉強結構頑張るタイプか~」
そう言われると、確かにそうなのかもしれない。
龍がわかりやすいけど、周囲の友人に自分程長く勉強をする様な人間ってそんないないのは経験上確かだった。
……まあ、そこまで長い事やって最上位の成績という訳ではないのだが。あくまで少し吸収率が悪い物覚えをどうにかするために、長めに勉強をしているという訳ではあるが。
「……あー、確かに。そうかも」
「うん、そうなんだって! でもそれって結構凄い事よ!」
彼女は、そう言ってくれた。
多分、凛からしたらそこまで特別な会話では無いのかもしれないけど、和也からしてみるとそういう風に言ってくれるのは、なんだか嬉しかった。
「そういえば、前に話してた友だちとの問題って解決したの?」
そのまま凛に一緒に帰ろう、と言われた和也はその道中で凛にそんな事を聞かれた。
「あ、そういえば……」
問題が解決したかと言われたら、決してそんな事が無いのは今朝の事を考えると間違いない。今日の勉強会こそ、凛との事を言わせないようにキツめにやったお陰で龍も勉強に集中してもらえたのだが。
ほんの少しでも刺激が入ると、結構不味い状況なのは確かだ。龍が男女交際的な縁が殆どない事は知っていたが、まさかあそこまでこじれているとは思わなかったわけだが……。
「ちょっと困っている、かな……」
「えっ! 結構困ってるの?」
そう伝えると、凛は少し心配した様子を見せる。
「……もし、そうなら今度時間をくれないかな?!」
「えっ?!」
急に、予定を聞かれた和也は驚く。まさか凛からそんな事を言われるとは思いもしなかったのだ。
「大丈夫! 私がなんとかして見せるから!」
けれど、自信満々に笑顔で言う凛を見ては少し断りにくい気がしてしまった。
*
そんな事があった数日後の昼休み。
「城築くん、で良いのかな? よろしく」
「おっおぉ……よろしく、俺の事は龍でも大丈夫だから」
龍の方は少しニヤニヤを隠せていないが、龍と凛が話している。その間に和也はいたのだが、現状何も話し出せていない。なんだか、割って入りにくいと思うのだ。
この間、凛が龍と話してどうにかしてみるという頼みを断らなかったのは言わずもがな。凛の方も龍絡みで面倒な事が起きているのは一度教室に来てもらった時になんとなく気づいてはいると思うのでこの提案をしてくれたのもなんとなくわかる。
……けれど龍に「お前と話したい女子がいるって話だから来てほしい」みたいな感じでこの話を振ったら、この間と似たような反応をされてなだめるのが大変ではあったのだが。
「ところで昼食がまだだったら、折角だし一緒に食べながら話をしたいわけだけど」
「お、おぉ?! まだなので是非喜んで!!」
ちなみに龍はこの時点で昼食を食べ終わっている。始まってすぐに持参していた弁当を一気に食べ終わったのを和也は見ていた。けれど、凛も凛で結構前のめりにやっていて内心ヒヤヒヤしている。
いきなり昼食一緒に食べるのを誘う……それも異性に対しては、舞い上がるのは多いだろう。今の龍みたいに。
「あ、高野くんも一緒になると思うんだけど良い?」
「お……まあいいか」
和也はその反応から龍のテンションが少し下がったな、と勘づく。
とりあえず、そこから昼食を取る事になったものの和也の思っていた以上に円滑に話しが進んでいた。
凛は龍の趣味の話について聞く所から初めて、少しずつそこから話を広げていっているの。
「へえ~……そういうのもあるんだ」
「そうそう! それでな……」
ちなみに凛は和也経由で龍の趣味が何なのかを既に聞いていた。というのも、あの日凛が時間を欲しい、と言われた日。
『その友達について知ってる事……例えば趣味辺りとか教えて欲しいな』
そう、聞かれたのだ。一応、和也はその時龍がどんな事をやってるか、とかみたいな情報を教えてはいたのだが、こういう形で活かされるとは思いもしなかった。
「そうだ凛! 教えて欲しい事があるのだが」



