ほぼ揺れることのない、飛空挺での快適な空の旅だった……とは言えるけど、やはり、地に足がついた場所で眠れるのは嬉しい。
私が住む場所は一階に十ほど部屋のある集合住宅で、私は三階の角部屋。ローレンス侯爵の口利きもあるし、女性一人暮らしだからという配慮もあった。
暗い階段を上がるとふきっさらしの長い廊下を抜けて、奥の部屋まで歩く。鍵を開けて部屋に入れば、私が出て行った時からこもっていた空気がそこにはあった。
ここが、私が稼いだお金で借りたお城。
狭い部屋の中には、大きなベッドと小さな机と椅子があって、玄関前には浴室とお手洗い。
ただ、それだけの簡素な部屋。
けれど、私にとっては『自分の家と言える唯一の場所』だった。
「……どうぞ。先に言っておくけど、ほんっとうに、狭くて汚いからね」
私は警告のつもりで言ったんだけど、クロードはにやっと笑った。
「すごく気持ち悪いこと言うけど、狭い部屋にシュゼットのと二人なのは、俺は嬉しいね」
「……クロード。あの……」
「俺だって、予告はしたよ」
なんとも言えぬ表情で私は背の高い彼の顔を見上げたけれど、確信犯のクロードは余裕ある仕草で軽く肩を竦めた。
私が住む場所は一階に十ほど部屋のある集合住宅で、私は三階の角部屋。ローレンス侯爵の口利きもあるし、女性一人暮らしだからという配慮もあった。
暗い階段を上がるとふきっさらしの長い廊下を抜けて、奥の部屋まで歩く。鍵を開けて部屋に入れば、私が出て行った時からこもっていた空気がそこにはあった。
ここが、私が稼いだお金で借りたお城。
狭い部屋の中には、大きなベッドと小さな机と椅子があって、玄関前には浴室とお手洗い。
ただ、それだけの簡素な部屋。
けれど、私にとっては『自分の家と言える唯一の場所』だった。
「……どうぞ。先に言っておくけど、ほんっとうに、狭くて汚いからね」
私は警告のつもりで言ったんだけど、クロードはにやっと笑った。
「すごく気持ち悪いこと言うけど、狭い部屋にシュゼットのと二人なのは、俺は嬉しいね」
「……クロード。あの……」
「俺だって、予告はしたよ」
なんとも言えぬ表情で私は背の高い彼の顔を見上げたけれど、確信犯のクロードは余裕ある仕草で軽く肩を竦めた。



