今夜は開会式だけで、本格的な対抗戦が行われるのは、明日から。

 広い魔法界から集められた多くの来訪者を歓迎する意味もあり、アクィラ魔法学園の大きな講堂では舞踏会が開かれる。

 私は貴族らしくドレスアップをして、舞踏会へと参加したんだけど、オスカーが偶然そこに居た。

 彼に嫌われ避けられているという自覚のある私は、会釈してから通り過ぎようとした。

「……ロゼッタちゃん! 少しだけ話せる?」

 今日私へ妙な要求をして来た姉の話だろうと容易に想像がつき、オスカーに促されるままに、講堂の壁際へと寄った。ちなみにこの講堂の壁には、至るところに守護魔法の呪文が刻まれている。悪しき魔法は、この講堂では使用出来ないのだ。

「どうしたんですか? 何か……」

 私が話を促そうとすると、久しぶりに話したオスカーは好意的に微笑んだ。

「本当に……一瞬、誰かと思ったよ!」

「もしかして、喧嘩を売りたいんですか? このドレスが、似合わないってこと?」

 オスカーが何を言わんとしているのか、わからなくて、私は眉を寄せた。

 彼には以前、相当失礼なことをしたという自覚はあるし、友人を利用されてエルネストが激怒するのだって、当然のことだ。

「いやいや……全然、そんなつもりじゃなくてさ! 可愛いなあって!」