私は、朝、毎日のように母に起こされます。たとえば、布団を剥がされたり、無理矢理服を着させられたり。
今朝のご飯は、ハートの目玉焼きでした。鈍い父はもちろん気付きません。後から聞くと、偶然ハートになったそうです。ちょっとだけ嬉しかったので、偶然と聞いた時は、これまたちょっと、いらっときました。
朝が苦手な私は、いつも車で登校します。母にも、友達にも呆れられていますが、仕方ないのです。だって、起きられないんだから。
⚡︎
やっとこさ、退屈でもないような、つまらない気もしないような、微妙なラインに立っている授業が終わると、部活があります。部活は、とても眠いです。だって、楽しいけど、先生と気が合わないから。なので、私の学校生活は全てが微妙なのです。
今日は、母がいないので、1人で帰らなくてはいけません。暗いのであまりいい気はしませんが、別に嫌ではありません。
途中は、意外にも車が多かったです。眩しすぎる気もしますが、これくらいがちょうどいい。
横を見れば、まだ光の灯っていないネオンの看板と、それから、月光のように美しい____
幽霊が。
「うわああああ!」
幽霊は、振り向いて「なんだよお前は」といい、近づいてきました。
なぜ幽霊だと分かったか?私は聞き逃さなかったから。「見えるのか?」と、彼が呟いたのを。しかも、半透明な見た目はもはや幽霊としか言いようがありません。
「っ!」
逃げようにも、足が言うことを聞きません。叫ぼうにも、声は出てくれません。そもそも、他の人に幽霊は見えるのでしょうか?
もうだめだ、そう思いました。最後の勇気を振り絞って、「たべ、ないで」と囁きました。しかし、予想と反対に、幽霊はこう言いました。「別に、取って食いやしねえよ」「ほんとに?」
私は目を見開き、ぽかんと馬鹿みたいに口を開けて、座りこみました。幽霊は、ため息をひとつついてから、
「俺は別にバケモンじゃねぇんだよ。車に轢かれて、気づいたらここにいただけ」
「え、大丈夫?」
「ああ、なんともねえよ。それより、初めて会って、まずタメ口とはいい度胸」
わたしは、すっかり幽霊と話していることも忘れて、そのまま男の子と喋り続けました。
「ごめんなさい。でも、あなただってタメ口じゃない」
「ああ、すみませんね。これでいいかい、これで、です」
むぅ、と私が呟くと、男の子はなぜか笑います。
「」
そこまで言ってから私は、ハッとしました。家に帰らなくてはいけないこと、そして男の子が幽霊だったことを思い出して、急に怖くなったから。おかしな話です、少しの間とはいえ、今まで喋ってたのにね。
「ごめんなさい、帰らなきゃ!さよなら」
「おい、ちょっと待てって____!」
そう言って、私は走り出しました。しかし、私はもう一つ思い出して引き返してきました。別に取って食べるわけじゃない、そんなふうに言っていたことを思い出して。
そんな言葉を信じた私も馬鹿らしいですが、仕方ありません。友達と言える友達もまともにいないから、ちょっと嬉しかった。ちょっと、にやけちゃった。それだけ。
そして、もっと馬鹿らしいことを私は知っています。それは、
幽霊なんかを、信じてたこと。
振り返ってみると、もういなかったはずなのに、元の話していたところまでもどるときまで、私は走っていたから。
そこには、幽霊なんかいなかったのにね。
そのかわり、さっきの看板からは、目が眩むほど眩しいネオンの光が溢れていました。
今朝のご飯は、ハートの目玉焼きでした。鈍い父はもちろん気付きません。後から聞くと、偶然ハートになったそうです。ちょっとだけ嬉しかったので、偶然と聞いた時は、これまたちょっと、いらっときました。
朝が苦手な私は、いつも車で登校します。母にも、友達にも呆れられていますが、仕方ないのです。だって、起きられないんだから。
⚡︎
やっとこさ、退屈でもないような、つまらない気もしないような、微妙なラインに立っている授業が終わると、部活があります。部活は、とても眠いです。だって、楽しいけど、先生と気が合わないから。なので、私の学校生活は全てが微妙なのです。
今日は、母がいないので、1人で帰らなくてはいけません。暗いのであまりいい気はしませんが、別に嫌ではありません。
途中は、意外にも車が多かったです。眩しすぎる気もしますが、これくらいがちょうどいい。
横を見れば、まだ光の灯っていないネオンの看板と、それから、月光のように美しい____
幽霊が。
「うわああああ!」
幽霊は、振り向いて「なんだよお前は」といい、近づいてきました。
なぜ幽霊だと分かったか?私は聞き逃さなかったから。「見えるのか?」と、彼が呟いたのを。しかも、半透明な見た目はもはや幽霊としか言いようがありません。
「っ!」
逃げようにも、足が言うことを聞きません。叫ぼうにも、声は出てくれません。そもそも、他の人に幽霊は見えるのでしょうか?
もうだめだ、そう思いました。最後の勇気を振り絞って、「たべ、ないで」と囁きました。しかし、予想と反対に、幽霊はこう言いました。「別に、取って食いやしねえよ」「ほんとに?」
私は目を見開き、ぽかんと馬鹿みたいに口を開けて、座りこみました。幽霊は、ため息をひとつついてから、
「俺は別にバケモンじゃねぇんだよ。車に轢かれて、気づいたらここにいただけ」
「え、大丈夫?」
「ああ、なんともねえよ。それより、初めて会って、まずタメ口とはいい度胸」
わたしは、すっかり幽霊と話していることも忘れて、そのまま男の子と喋り続けました。
「ごめんなさい。でも、あなただってタメ口じゃない」
「ああ、すみませんね。これでいいかい、これで、です」
むぅ、と私が呟くと、男の子はなぜか笑います。
「」
そこまで言ってから私は、ハッとしました。家に帰らなくてはいけないこと、そして男の子が幽霊だったことを思い出して、急に怖くなったから。おかしな話です、少しの間とはいえ、今まで喋ってたのにね。
「ごめんなさい、帰らなきゃ!さよなら」
「おい、ちょっと待てって____!」
そう言って、私は走り出しました。しかし、私はもう一つ思い出して引き返してきました。別に取って食べるわけじゃない、そんなふうに言っていたことを思い出して。
そんな言葉を信じた私も馬鹿らしいですが、仕方ありません。友達と言える友達もまともにいないから、ちょっと嬉しかった。ちょっと、にやけちゃった。それだけ。
そして、もっと馬鹿らしいことを私は知っています。それは、
幽霊なんかを、信じてたこと。
振り返ってみると、もういなかったはずなのに、元の話していたところまでもどるときまで、私は走っていたから。
そこには、幽霊なんかいなかったのにね。
そのかわり、さっきの看板からは、目が眩むほど眩しいネオンの光が溢れていました。



