放課後の図書館は、外の喧騒とは無縁の静けさに包まれていた。窓際の席に並んで座る蓮と陽菜の間には、開いたままの参考書と、いくつかの付箋、そして微かな沈黙があった。
「…こんなふうに一緒に勉強するの、なんだか不思議だね。」
陽菜がぽつりと呟いた。声は静かだが、何処か温かく、蓮の肩の力を少しだけ緩ませた。
「不思議っていうか、…まあ、普通はこんなふうにはならないな。俺は、あまり人と関わらない方だったから。」
「うん、知ってる。でも、今はこうしてる。そういうのって、ちょっと嬉しいよ。」
蓮は返事をせずに小さくため息を吐いた。言葉にするには少し重たい何かが、喉の奥に引っかかっていた。
「……昔、さ。」
不意に声が溢れた。陽菜が顔を上げ、目を見開いたまま黙って耳を傾ける。蓮は窓の外の方を見つめながら、少しずつ言葉を探した。
「中学のとき……友だちが、一人いじめられてて。俺、見て見ぬふり…出来なかった。」
陽菜は目を伏せ静かに頷いた。蓮の声は微かに震えていたが、それでも彼は話し続けた。
「…こんなふうに一緒に勉強するの、なんだか不思議だね。」
陽菜がぽつりと呟いた。声は静かだが、何処か温かく、蓮の肩の力を少しだけ緩ませた。
「不思議っていうか、…まあ、普通はこんなふうにはならないな。俺は、あまり人と関わらない方だったから。」
「うん、知ってる。でも、今はこうしてる。そういうのって、ちょっと嬉しいよ。」
蓮は返事をせずに小さくため息を吐いた。言葉にするには少し重たい何かが、喉の奥に引っかかっていた。
「……昔、さ。」
不意に声が溢れた。陽菜が顔を上げ、目を見開いたまま黙って耳を傾ける。蓮は窓の外の方を見つめながら、少しずつ言葉を探した。
「中学のとき……友だちが、一人いじめられてて。俺、見て見ぬふり…出来なかった。」
陽菜は目を伏せ静かに頷いた。蓮の声は微かに震えていたが、それでも彼は話し続けた。



