大学のキャンパスまで続く並木道を、私は1人で歩いていた。
黒のショルダーバッグを肩にかけ、新品の革靴でアスファルトを踏みしめる。

時折桜の花びらが風に舞い上がり、まるで空からの祝福みたいに私に降り注ぐ。

ふと、立ち止まって空を見上げた。
青い空。遠くで誰かの笑い声が聞こえる。

あの頃、私はあの場所で確かにあなたを好きになった。
傷ついて、泣いて、それでも——

私は小さく目を細める。心に刺さっていた痛みはもう、ほとんど感じなかった。

私はそっと微笑み、ひとつ深呼吸をして前を向いた。
新しい季節の匂いがする。新しい世界の音がする。光がさす方へ歩き出す。

たとえまた、うまくいかないことがあったとしても。
たとえまた、誰かを好きになって、どうしようもなく苦しくなったとしても。

もう、自分に嘘をつかない。
きっと私はちゃんと生きていく。巡りゆく季節と共に。