ああ。そういう大人っているよな、と思った。目に入るもの耳に入るもの全部に何かしらの「助言」をしないと気が済まない……自分が法律、他人を信用しない、口出ししないと死ぬ病、そのくせ発言は数日たてばすっぽり頭から抜ける、そんな種類の人間。
　ただ、俺は帰宅部で何の委員もやってなく学校の施設や設備も最低限しか使わない性分だから、奴に関わることはないと思ってた。
　だけど、そんな考えの甘さを俺はすぐに思い知った。部活に入ってない生徒で構成される決まりである、文化祭の実行委員会に入ることになったのだ。
　そして学校行事という、自分に影響も関係もある内容に、教頭が意見なしにいれるわけは、ない。
　十一月最初の連休に開催される文化祭の準備は二学期開始と同時に始まる。その時俺たちは教頭に「文化祭のＰＲ動画を配信する」と言われた。外部からの来場者に在校生の能力をアピールになるという言い分だった。
　だが委員会の先輩たちが言うには、去年も似た思いつきがあったけど「結局実行してないし何も言われなかった」からとスルーした。
　だけど教頭はまた同じ要件で会議を邪魔しに来て、流れで俺が「総監督」に決まった。