自嘲するような響き。けれど、その表情は不思議と暗くはない。過去を、きちんと受け入れているように見えた。その潔さが、今の私には眩しく、そして少しだけ羨ましかった。
「才能なんて…」
私は、思わず口を挟みそうになった。才能なんて、あったって苦しいだけだ、と。けれど、その言葉を飲み込む。目の前の彼女に、そんなことを言う資格は、私にはない。
「…でも、言葉にするのは、すごく難しいことだと思います。伝えたいことが、上手く伝わらないもどかしさとか…」
私の言葉に、彼女は「うんうん」と深く頷いた。
「そうなんですよねえ。もどかしい! でも、だからこそ、面白いのかもしれないですね。書くのって。上手くいかないから、また挑戦したくなる、みたいな。…あ、またごめんなさい、私ばっかり話しちゃって。お客さんの邪魔しちゃいましたね」
彼女は、はっとしたように言って、少しバツが悪そうに笑った。その笑顔は、やはりどこまでも自然で、嫌味がない。
「いえ、そんなこと…」
私が言い淀んでいると、彼女は「でも」と悪戯っぽく笑いながら続けた。
「言葉にするのって、本当に難しい! でも、だからこそ、面白いのかもしれないですね。上手くいかないから、また挑戦したくなる、みたいな」
その言葉は、まるで光の矢のように、私の心の澱んだ部分に真っ直ぐに差し込んできた。上手くいかないから、面白い。挑戦したくなる。そんな風に、今の私は少しも思えていなかった。書けない苦しみ、プレッシャー、そして才能への不安。ネガティブな感情ばかりが渦巻いて、かつて確かに感じていたはずの、創作そのものへの喜びや衝動を、完全に見失っていた。
「才能なんて…」
私は、思わず口を挟みそうになった。才能なんて、あったって苦しいだけだ、と。けれど、その言葉を飲み込む。目の前の彼女に、そんなことを言う資格は、私にはない。
「…でも、言葉にするのは、すごく難しいことだと思います。伝えたいことが、上手く伝わらないもどかしさとか…」
私の言葉に、彼女は「うんうん」と深く頷いた。
「そうなんですよねえ。もどかしい! でも、だからこそ、面白いのかもしれないですね。書くのって。上手くいかないから、また挑戦したくなる、みたいな。…あ、またごめんなさい、私ばっかり話しちゃって。お客さんの邪魔しちゃいましたね」
彼女は、はっとしたように言って、少しバツが悪そうに笑った。その笑顔は、やはりどこまでも自然で、嫌味がない。
「いえ、そんなこと…」
私が言い淀んでいると、彼女は「でも」と悪戯っぽく笑いながら続けた。
「言葉にするのって、本当に難しい! でも、だからこそ、面白いのかもしれないですね。上手くいかないから、また挑戦したくなる、みたいな」
その言葉は、まるで光の矢のように、私の心の澱んだ部分に真っ直ぐに差し込んできた。上手くいかないから、面白い。挑戦したくなる。そんな風に、今の私は少しも思えていなかった。書けない苦しみ、プレッシャー、そして才能への不安。ネガティブな感情ばかりが渦巻いて、かつて確かに感じていたはずの、創作そのものへの喜びや衝動を、完全に見失っていた。
