目の前の砂場では、小さな子供たちが数人、母親に見守られながら遊んでいる。その無邪気な声や仕草を眺めていると、自分がどれだけ複雑で、厄介な感情に囚われているのかを改めて思い知らされるようだった。
どうして、こうなってしまったんだろうか。
ベンチに深くもたれかかり、空を見上げる。
薄い雲が、夕暮れの光を受けて、淡いオレンジ色に染まっている。綺麗だ、と思った。けれど、その美しさすら、今の僕にはどこか他人事のように感じられる。心が、完全に麻痺してしまっているのかもしれない。
ポケットの中で、スマートフォンが震えた。
反射的に取り出すと、それは大学の友人グループからの、飲み会の誘いのメッセージだった。楽しげな絵文字が並んでいる。僕は、しばらくその画面を眺めた後、返信もせずにポケットに戻した。今の僕には、その輪の中に加わる資格がないような気がした。
喫茶店での雪乃の言葉が、繰り返し頭の中で再生される。
『書けなくなってきてる』
『怖いんです』
『先輩は……昔、私が書いたやつ……どう思ってたんですか?』
彼女の問いに、僕は答えられなかった。はぐらかし、そして、おそらくは深く傷つけた。僕が言えなかった「面白かった」という言葉。
それは、単なる感想ではなかったはずだ。
あの頃、互いの言葉を唯一の道標のようにして歩んでいた僕たちにとって、それはもっと深い意味を持つ、承認の言葉だったはずなのだ。
どうして、こうなってしまったんだろうか。
ベンチに深くもたれかかり、空を見上げる。
薄い雲が、夕暮れの光を受けて、淡いオレンジ色に染まっている。綺麗だ、と思った。けれど、その美しさすら、今の僕にはどこか他人事のように感じられる。心が、完全に麻痺してしまっているのかもしれない。
ポケットの中で、スマートフォンが震えた。
反射的に取り出すと、それは大学の友人グループからの、飲み会の誘いのメッセージだった。楽しげな絵文字が並んでいる。僕は、しばらくその画面を眺めた後、返信もせずにポケットに戻した。今の僕には、その輪の中に加わる資格がないような気がした。
喫茶店での雪乃の言葉が、繰り返し頭の中で再生される。
『書けなくなってきてる』
『怖いんです』
『先輩は……昔、私が書いたやつ……どう思ってたんですか?』
彼女の問いに、僕は答えられなかった。はぐらかし、そして、おそらくは深く傷つけた。僕が言えなかった「面白かった」という言葉。
それは、単なる感想ではなかったはずだ。
あの頃、互いの言葉を唯一の道標のようにして歩んでいた僕たちにとって、それはもっと深い意味を持つ、承認の言葉だったはずなのだ。
