ある雨の日、推しに会いました

舞依「音瀬…優斗さんですか?」

恐る恐る私は聞くと、あっちは聞こえていなさそうに体を震えさせた
音瀬 優斗(おとせ ゆうと)とは、最近人気の新人アイドル。17歳という若さで人々を魅力している。最近はテレビも引っ張りだこで、知らない人はいないと言っても過言ではない。音瀬優斗の魅力は、なんといってもトークと歌声のギャップだ。キラキラとし、たまにはホワホワと天然が出てしまうようなトークだが、歌になるとそれは別物。バチバチにかっこよく、早口ラップも噛まずに歌いきる。がなりはもちろんお手の物。シャウトも超ロングトーンで喉を痛めそうだと思ってしまうが、やっぱりかっこいい。そんなギャップの持ち主だ。ちなみに、顔はパッチリ二重で、シュッと高い鼻。ぷっくりとした唇。要約して言えば、完璧イケメンとでも言っておこう。
そんなアイドルが…どうしてここに居るの?

舞依「っ、ジャージ…」

私は優斗さんが声すら聞こえないほど寒がっていることを察し、傘は一旦地面に起き、リュックから今日持ち帰ったジャージを取り出し、優斗さんにかけた。そしてさっきと同じように傘をさしてあげていると、私の存在に初めて気づいたような顔をし、アタフタと慌てている

優斗「っ!すみません!!」

びしょびしょに濡れた服のまま、その場から去ろうとしている優斗さんの腕を私はすかさず掴み、下心半分、心配半分の不思議な気持ちで口を開いた

舞依「そのままじゃ寒いですよ?ここ、私の家の近くなので一緒に行きましょう」

私は返事を聞かずに強制的に優斗さんの腕を引き、私は家まで一緒に向かった
そのときの空は、さっきより雨が降っており、打ち付けるだけで痛いと感じてしまうほどだった

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細い道を通ると、可もなく不可もなく微妙な大きさの建物が見えてきた。そんな場所に推しを入れると考えると不安になるが、背に腹はかえられぬ。意を決して優斗さんと共に家の中に入った。優斗さんは遠慮しているのか、なかなか家に入ろうとしなかったけれど、最終的には痺れを切らして「お邪魔します…」と小声で言い、靴をしっかりと揃えて入っていった

舞依「今からお風呂沸かすんで…タオルで体を拭いてください」

私はそう優斗さんに言い残し、タオルを持ってきて優斗さんに手渡しした。人見知りの私には結構ハードルが高い行動だったが、結構頑張ったほうだと思う
そして優斗さんと話す暇もなく、すぐにお風呂を掃除し、汚れを感じなくなったら銭をつけてお風呂を沸かした。推しが入るお風呂だと考えると、結構緊張してしまう。しばらくすると、お風呂が沸いた音が鳴り、私は優斗さんの場所まで足早で向かった

舞依「お風呂が沸きましたよ。すぐそこにあるのでゆっくり入ってください」

優斗「あ、ありがとうございます、!!」

そう言って優斗さんは重い足取りで私の家のお風呂場まで向かった