ある雨の日、推しに会いました

 空から雨がポツポツ、ポツポツと降り出してくる終礼時、クラスから嫌がる声があちらこちらから飛び交ってくる様子を横目に、私、舞依は透明に切り取られた窓の外を眺める。雲は思い灰色に染まっており、いつも見るような清々しい程の青い晴天とは真逆な外だ。

先生「お前ら、静かにしろ〜」

ため息を着きつつ、クラス全体が渋々と静かになる様子が肌に触れるように分かった。だけども、完全に静かになったわけではなく、周りからわザワザワとした耳障りな声が私の周りを包む。それに反して私は、友達が一人もいないボッチ。その原因は人見知りということが大部分だろう。
だからって、人生が辛い訳では無い。私には生きがいが居る。それは…いずれ教えるだろう

先生「〜てことで、会長。号令」

気がつくと、先生の話が終わり、それに比例して終礼も終わっていた。私はクラスに残ることもなく、すぐに教室から出た

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舞依「よかった…ギリギリ傘あった…」

傘立てに置いてある私の傘を抜き、地面全体が水溜まりが出来そうな大雨のなか、私はバシャバシャと水を踏みしめながら見慣れた道を歩いた
私はクラスでは孤立しているうえ、部活にも入ってない。理由は単純。好みな部活がなかったという理由と、入ったとしても人間関係に馴染めなさそうだからという理由だ。私の人見知りは本当に激しく、親にも呆れられるほどだ…と言いたいのだが、もう親は他界している。

舞依「絶対これ傘があっても濡れるって…」

ここの地域に似つかわしくない雨に、私まで苛立ちがたってしまう。傘には止まることを知らない雨が永遠に振り続けており、雨の音すら騒音と思ってしまう。

そろそろ家に着く分岐点までやってき、私は無意識にいつもの方向に足をむけていた。だけども、いつもはそこで歩き始めるはずだが、私は別の思考がチラついた。

舞依「今日は…遠回りしようかな?」

なぜか直感的にそう思い、私はさっきまでむけていた足の方向を逆に回し、雨にも関わらず遠回りを選んだ。なぜだろうか?直感というものは怖いものだ
…これからの未来まで変えてしまうのだから

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私が遠回りした道には、小さな神社とブランコしか置いていないショボイ公園がある。正直、そこに人が居るときは小学生が地域のイベントを参加するときの集合場所としか扱われていない。イコール、常に人がいないという理由も含め、ほとんどあってもなくても変わらない場所なのだ。

舞依「うわ…スカート雨でびっちゃびちゃなんだけど……遠回りなんかしなければよかった」

そんな愚痴を零していると、例のブランコしかない公園のすぐ側を通る、そのときに…

舞依「あれ…人がいる?」

雨の中、傘もささずにびしょ濡れになって蹲っている人がいる。本当は近づきたくないのだけども、流石にここまで来たら見捨てられない。私は、蹲っている人の傍まで行き、傘を屋根替わりにその人に向けてさした。

舞依「大丈夫ですか…って、貴方……」

その人の顔を覗き込むと、私は息を飲んだ。
色白で、骨で出来ているのじゃないかと錯覚してしまうような細い体。人間離れした整っている顔。そしてなにより…

“私の推し“

舞依「音瀬…優斗さんですか?」

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