「ポチ、起きて、起きてよ」
「うが?」

 おお、ポチはいつの間にか馬車の中で寝てしまった様だ。
 りっちゃんのお膝は、暖かくて気持ちいいんだよね。
 ポチが豆柴の頃からのお気に入りの場所なのだ。
 馬車の窓から外を見ると、沢山のお家が並んでいたんだ。
 えーっと、ここは何処だろう?

「ほら、もう王都に着いたわよ」
「おお、本当だ。ポチの住んでいる街よりも凄いよ!」

 馬車の窓から見える景色に、ポチはびっくりしたよ。
 いつもの商店街よりも沢山のお店が並んでいて、沢山の人が歩いているの。
 店頭で声掛けしている人もいるんだよ。
 ポチ、こういう所でもお手伝いしてみたいなあ。

 馬車はドンドンと街中を進んで行くんだよ。
 段々と大きいお屋敷がある所に入っていくんだ。
 まるでりっちゃんのお家みたいな屋敷が沢山並んでいるの。

「さあ、ここが私達の王都の屋敷だ」
「おお、大きい!」

 王都の屋敷に到着したけど、とっても大きいんだ。
 お庭も綺麗で、色々な花が咲いているの。
 お、薔薇もあるよ。
 お手伝いで虫取りしようかな?
 それくらい、ワクワクするよ!

「うわあ、大きな屋敷だ!」
「これでも、領地の屋敷よりは狭いけどね。先ずは、ポチちゃんの泊まる部屋に案内しよう」
「えっ? ポチが泊まる部屋もあるの!」

 領主様に言われて、ポチは驚いちゃった!
 先ずは領主様の後について、屋敷の中に入っていこう。
 侍従のお姉さんも沢山いて、本当に凄いなあ。

「ここがポチちゃんのお部屋ですよ」
「わあ、広いなあ」

 侍従のお姉さんに部屋をあけてもらうと、とっても広いお部屋だったんだよ。
 ポチ、もうワクワクしたよ。
 思わずベッドにぴょんってダイブしちゃったんだ。
 ベッドもふわふわで、とっても気持ちいいんだよ。

「では、お風呂にご案内しますね」
「おお、お風呂! ポチ、お風呂大好き!」

 ご飯を食べる前にお風呂に入るんだって。
 孤児院にもお風呂があるから、いつもミッケちゃんとリルムちゃんと一緒に入るんだ。
 もしかしたら屋敷が凄いから、お風呂も凄かったりして。
 ポチ、さっきからワクワクが止まらないよ!