「それでは、これからガルフとルーシーの結婚式を執り行う」

 おっと、ここでポチは香辛料屋さんのおっちゃんとルーナちゃんのお母さんの名前を初めて知ったよ。
 でもポチにとっては、おっちゃんとルーナちゃんのお母さんで慣れちゃったんだよね。
 皆、おしゃべりしないで真剣にお爺さんの言葉を聞いているよ。
 勿論、ポチも一生懸命にお話を聞いているよ。

「汝ガルフはルーシーを妻とし、終生愛する事を誓いますか?」
「誓います」
「続いて、汝ルーシーはガルフを夫とし、終生愛する事を誓いますか?」
「はい、誓います」

 お爺さんの言葉に、香辛料屋さんのおっちゃんとルーナちゃんのお母さんが答えたよ。
 どちらも真剣な表情で、ポチの横にいるルーナちゃんも思わず真剣な表情になっているよ。

「では、お互い指輪の交換を」

 おっちゃんとルーナちゃんのお母さんが、お互いに指輪の交換をするよ。
 実はこの指輪は、おっちゃんが作った物なんだって。
 商店街にドワーフのおっちゃんの鍛冶屋があって、そこでおっちゃんが頑張って作ったんだって。
 おっちゃんやるねえ。

「それでは、誓いの口づけを」

 おっちゃんがルーナちゃんのお母さんがかぶっているベールをあげてて真剣な表情になっているんだ。
 でも、おっちゃんはかなり身長が大きくて、ルーナちゃんのお母さんと身長差があるけどどうするんだろうって思ったんだ。

「わあ!」
「「「おお!」」」
「おとうさん、かっこいい!」

 おっちゃんが驚きの行動に出たんだ。
 なんとルーナちゃんのお母さんをお姫様抱っこして、それから近いの口づけをしたんだよ。
 もう会場は大盛り上がりになったんだ。
 おっちゃんかっこいいとか、羨ましいって声も聞こえたんだ。

「ほほほ、これはこれは。二人に女神様の祝福があらん事を」

 お爺さんもシスターさんも思わずニコニコして拍手をしていたんだ。
 香辛料屋さんのおっちゃんとルーナちゃんのお母さんの結婚式は、公爵領の歴史に残る結婚式になりそうだよ。

 その後は皆外に移動して、おっちゃんとルーナちゃんのお母さんが出てくるのを待っているんだ。
 皆でゲートみたいに道を作って、ライスシャワーの準備だよ。

「「「おお!」」」

 教会の扉が開くと、またもやおっちゃんがルーナちゃんのお母さんをお姫様抱っこをしているんだ。
 そして、ライスシャワーが始まったんだけど、一部のおっさんの冒険者が思いっきりお米を投げつけているの。
 そりゃ、ここまでラブラブな所を見せられたら思わず嫉妬しちゃうのかな?
 ルーナちゃんはニコニコとしながら、お米を投げていたんだよ。
 勿論、ポチもりっちゃんも一生懸命にお米を投げたんだ。

 そして、お待ちかねブーケトスだよ。
 商店街で働いている女性は殆どが結婚しているんだって。
 だから、冒険者のお姉さんと冒険者ギルドと商工ギルドで働いているお姉さんが参加するんだよ。

「ポチ怪我するといけないから、私達は離れておこうね」
「うん、何だか迫力がすごいんだよ」

 りっちゃんがそう言って離れた所に誘導してくれたけど、ポチもお姉さん達の迫力で耳と尻尾がペタンてなっちゃったんだ。
 絶対に近づいちゃ駄目って、ポチの中のポチが言っているんだよ。

「それでは、どーぞ」
「えーい」

 シスターさんの声を合図に、ルーナちゃんのお母さんがブーケを高く投げたんだ。
 おお、だいぶ高く投げたなあ。
 あれ?
 風に流されて、段々とポチの所にやってくるようだ。

「「「うおおおお!」」」
「「「うわあ!」」」

 ブーケを求めるお姉さんが、ポチ達の所に殺到してきたんだ。
 ミッケちゃんとリルムちゃんは怖くなって抱き合っているし、ポチはりっちゃんを守るために前に飛び出して大きく手を広げたの。

 ぽす。

「「「あっ」」」

 そうしたら、りっちゃんの腕の中にブーケがポトリと落ちたんだ。
 おお、これはナイスタイミング。

「はい、ブーケは見事リリーナ様がゲットされました。おめでとう御座います!」
「「「うう……」」」
「がははは、お前らが欲張るからだよ」
「お前らの殺気で、子どもたちが怯えているぞ」
「ブーケが、自ら欲のない人の所に行ったぞ」

 ブーケが取れなくて悔しかったお姉さん達を見て、冒険者のおっちゃん達が大笑い。
 確かに、お姉さん達の迫力はかなり怖かったよ。
 ポチも思わずちびっちゃいそうだったよ。
 でも、ブーケをゲットしたりっちゃんはとってもニコニコだったよ。
 色々あったけど、とっても楽しい結婚式だったよ。