ルーナちゃんのお母さんが香辛料屋さんのおっちゃんと婚約したので、皆で結婚式をやろうとなったんだよ。

「ほほほ、それは良いのう」
「とても素晴らしい事ですわね」

 勿論、司祭のお爺さんとシスターさんも、結婚式をする事に大賛成してくれたよ。
 準備とかもあるから、一ヶ月後にやろうってなったんだ。
 
「せっかくだから、ウェディングドレスも着せてあげたいわね」
「確か、倉庫にお古があったはずよ」

 商店街のおばちゃんも、とってもやる気になったんだ。
 服屋さんのおかみさんが、ウェディングドレスを用意してくれるんだって。
 ルーナちゃんのお母さんはとっても綺麗だから、白いウェディングドレスはよく似合いそうだよ。

「せっかくだから、新作商品も出してみようか?」
「うん、そうだね!」

 パン屋さんのマーサさんとミッケちゃんの新作は、いつも美味しいからなあ。
 皆、絶対に気に入ってくれるはずだよ。

 結婚式の準備はもう少ししてから開始するという事なので、今日のポチはいつも通りにパン屋さんのお手伝いをするんだよ。

「いらっしゃーい、今日のサンドイッチは新作だよ!」

 今日はギルドでパン屋さんの出張販売だよ。
 もうギルドで販売する事にも慣れてきちゃった。
 冒険者とも仲良しだし、ミッケちゃんとリルムちゃんとの連携もバッチリだよ。

「ふふふ、ポチはいつも元気ねえ」
「はい、ポチちゃんがいる事によって、ギルドにもとっても良い影響が出ています」

 そんなポチの様子を、りっちゃんがカウンターに座りながら眺めているんだ。
 ギルドの副マスターっていう偉い女性と話をしていているんだよ。
 りっちゃんも偉い人とお話をしたり、とっても大変だね。
 あ、そうだ。
 折角だからりっちゃんにも新作のサンドイッチを食べてもらおう!

「りっちゃん、ミッケちゃんが考えた新作だよ」
「わあ、フルーツが沢山入っていて見た目もいいしとっても美味しいわ」
「ミッケちゃん、美味しいって! 領主様の娘様のお墨付きだよ!」
「わわわ、ポチちゃん声が大きいよ」

 ミッケちゃんは恥ずかしがっているけど、美味しいのは間違い無いのだ。
 ポチも試食したけど、とっても美味しかったんだ。
 りっちゃんも、新作パンはとても美味しいって絶賛していたよ。

「お嬢様、そろそろお屋敷にお戻りになるお時間でございます」
「もうこんな時間ですね。ポチといると、時間の経過が早いですね」

 おっと、りっちゃんはこれからリハビリとお勉強の時間なのだ。
 なので、ポチとはここでお別れだよ。

「りっちゃん、リハビリ頑張ってね!」
「ポチも売り子頑張ってね」

 りっちゃんに負けてられないと、ポチも気合を入れるよ。
 りっちゃんは入口に待機している馬車に向かって、侍従のお姉さんと一緒に行ったよ。

「ミッケちゃん、リルムちゃん。新作のサンドイッチもだいぶ売れたね」
「途中で補充しにいったくらいだし、女性の冒険者さんに人気だったよ」
「流石はミッケちゃん。リルムでは無理だよ」

 こんな感じで、ポチがミッケちゃんとリルムちゃんと商品チェックしていた時だったの。

「きゃー! 誰かー!」
「あ、この声はりっちゃんだ!」

 りっちゃんの声が冒険者ギルドの外から聞こえたから、ポチは一目散に駆け出したよ。
 りっちゃん、無事かな?