ルーナちゃんのお母さんが入院していてルーナちゃんを孤児院で預かっているけど、ルーナちゃんのお母さんが退院するまでもう少しかかるの。
 だから今日は、ミッケちゃんとリルムちゃんと一緒にルーナちゃんとお母さんのお見舞いに行くんだよ。
 ルーナちゃんのお母さんとはこの前挨拶できているから、ポチ達とももうお知り合いだよ。
 ポチ達はまだ子どもだから、シスターさんが一緒についていってくれるんだって。

「ルーナちゃん、お母さんと久々に会えるの楽しみ?」
「うん! たのしみ!」
「それは良かったね!」

 病院に一緒に向かっているルーナちゃんは、久々にお母さんと会えるとあってとってもニコニコしているよ。
 ルーナちゃんは、よっぽどお母さんに会えるのが嬉しいんだね。
 ルーナちゃんと一緒に手を繋いでいるミッケちゃんも、ルーナちゃんに釣られてニコニコとしているよ。
 因みにルーナちゃんと手を引くために、ミケ達はじゃんけんをしたんだ。
 それはそれは熱い勝負だったよ!
 結果は御覧の通り、ミッケちゃんが勝ったんだ。
 帰りのじゃんけんは、きっとポチが勝つんだから。

「おや? 病室に誰かいるよ?」
「あ、本当だね」
 
 無事に病院に到着してルーナちゃんのお母さんがいる病室に入ろうとすると、ルーナちゃんのお母さんと誰かがお話していたんだ。
 なんだか、とっても楽しそうな声が病室からしてきたよ。

「おかあさん!」

 おお、ポチ達が病室に入るべきかどうしようかと思っていたら、ルーナちゃんがお母さんのいるベッドに突撃していったぞ。
 これにはポチ達もちょっと焦ったけど、入っても大丈夫みたいだ。

「あら、ルーナいらっしゃい。元気にしていた?」
「うん! おかあさんはげんき?」
「ええ、お母さんもとっても元気になったわ」

 久々のお母さんとの再会に喜んでいるルーナちゃんの横には、厳つい顔の頭がつるつるの鬼族のおじさんがルーナちゃんの頭を撫でながら立っていた。
 ポチ、あのおっちゃん知っているよ!

「おお、香辛料屋さんのおっちゃん!」
「ポチちゃんも一緒だったか。そうか、ルーナは孤児院で預かって貰っているんだな」
「そうだよ!」

 そっか、ルーナちゃんのお母さんはおっちゃんが経営している香辛料屋さんで働いているんだ。
 だから、お互いに顔見知りでお見舞いにきても全然問題ないんだ。
 ルーナちゃんもおっちゃんの事を全く怖がっていないし、おっちゃんもルーナちゃんを可愛がっているよ。

「ポチちゃんも、ルーナの面倒を見てくれて有難うね。ルーナがこうして元気に過ごせているのも、ポチちゃん達の力が大きいわ」
「ポチは、ルーナちゃんのお姉ちゃんみたいな役割なんだよ。ミッケちゃんとリルムちゃんと一緒にお姉ちゃんをしているんだ!」

 ミッケちゃんとリルムちゃんと交代で一緒にルーナちゃんと寝てあげたり、お風呂にも一緒に入っているの。
 最近は、男の子もルーナちゃんを可愛がったりしているんだよ。
 孤児院の皆で、ルーナちゃんの面倒を見ているんだ。

「足のお加減はどうですか?」
「おかげ様で大分良くなりました。当初よりも早く、あと一週間で退院出来そうです」
「それは良かったですね。ルーナちゃんもきっと喜びますわ」

 シスターさんとルーナちゃんのお母さんが話をしているけど、あと一週間で退院出来るんだ。
 ルーナちゃんもお母さんが早く退院できると聞いて、とっても喜んでいるよ。
 
「それでは、私達はこれで。長居しても申し訳ないので」
「折角来て頂いたのに申し訳ないです」
「ルーナは私が孤児院まで送っていきます」
「「「じゃあね」」」

 暫く皆でお喋りをして、ポチ達とシスターさんは一足早く帰る事になったんだ。
 病室には他の患者さんもいるし、うるさくできないもんね。
 ルーナちゃんは、後で香辛料屋さんのおっちゃんが孤児院まで送ってくれる事になったよ。
 折角久々にお母さんと会ったんだから、ルーナちゃんももう少し長くいたいよね。
 という事で、ポチ達は孤児院に帰ります。

「ミッケちゃん、リルムちゃん。ルーナちゃんのお母さん元気になって良かったね」
「そうだね。ルーナちゃんも笑顔だったね」
「やっぱり、お母さんは強いの」

 帰り道、皆で病室の事を話しているよ。
 ルーナちゃんも笑顔になったし、とってもいい感じだったね。
 
「そういえば香辛料屋さんのお手伝いを頼まれたけど、皆大丈夫?」
「大丈夫だよ! おっちゃんが色々と準備してくれるって」
「折角だし、お手伝い頑張るよ」
「ルーナちゃんもお手伝いするって」

 予定よりルーナちゃんのお母さんの退院が早くなったので、退院する日は香辛料屋さんのおっちゃんがルーナちゃんのお母さんを迎えに行く事になったんだ。
 短い時間だけど、三人で香辛料屋さんを切り盛りするよ!
 ポチは香辛料屋さんでお手伝いした事もあるし、全く問題ないのだ。
 ルーナちゃんのお母さんとおっちゃんの為に、ポチ達は頑張るのだ!
 ふふふ、来週がとっても楽しみだな。

 そしてポチは気づいてしまったのだ。
 ルーナちゃんと一緒に手を繋いで帰る為にじゃんけんに勝つって決めたのに、おっちゃんに良い所をもっていかれちゃった事を。
 でも、ポチはお姉さんなので我慢できるんだ。