「!…!?」びっくりした、まさかこんな早い時間に人が来るなんて全く予想していなかった…!
恥ずかしくて穴…いや、ガマがあったら入りたい!!
そんな感じで思考が暴走する私を止めてくれたのは、柔らかくて、落ち着いた声だった。
「ごめん、見てないし聞いてないことしておくよ、…じゃあ、ね」その言葉を聞いたと同時、私は、思わず岩を飛び降りて立ち去ろうとする彼の腕を掴んだ。
「えっと、何か、その、私に用?」…名前を訊こうとしたのに何言ってんの私!?
心のなかで絶叫し、一人悶々としていたらー
「いや、その、歌声が素敵で…で、気づいたら…ね?」
歌声を褒めてもらうのは初めてじゃない。この子以外の男子にも沢山褒められた…。
でも、何で、何でこんなに胸が熱いんだろう?
「…ありがとう」なんとか微笑みながら答えたけど内心結構取り繕えたか心配だった。
「えっと、君、名前は?」「私は緑青華奈、君は?」
なぜだろう名前を訊かれて答えるだけなのに、どうして、こんなに、ドキドキするんだろう…?
「僕は新海清」
にいみ、せい…。変わった名前…、でも、光を受けて輝く海みたいに綺麗な名前。
今度は少し強引な感じで立ち去ろうとする気配がした。
まだ、訊きたいことがある、のに…、もう帰っちゃうの…?嫌だ、それは嫌だ!
「待って!」気付いたら自分でも驚くくらい大きな声でそう言っていた。
そして、なぜか、高鳴る鼓動を感じながら尋ねた。
「清…くん。君はどこから来たの?」どうしてだろう…彼の名前を言うだけ…ただそれだけなのに、どうしてこんなに、胸が、締め付けられるんだろう…。
「どっからって、東京だけど…」
東、京…ということは内地から来たのか…ということは、きっと夏休みの旅行で来ただけ、なんだろう。
でも、可能ならば、彼…清くんと一緒に居たい…、そう思う自分が居たことにびっくりする。
でもそれは、きっと叶わない願い、数日もすれば彼は…。
そんな夢みたいなことを考えていたらー「とりあえず、手、離してくれ」
少し怒った声色で告げられた。そこでやっと自分がまだ彼の手を掴んでいることに気づいた。
「あ、ご、ごめんね」辛うじてそう謝り申し訳なさと恥ずかしさで今すぐ無かったことにしたかった。
「じゃあね」彼はそう告げ足早に去っていく。私はそれを、ただ、見送ることしか出来なかった。
小さくなっていく大きな背中を見たとき、彼と話していたときに感じたこの不思議な感覚の答えがでた。
私は、清くんのことー
それを実感したとき嬉しさより、悲しさを感じていた。
きっと清くんはすぐに東京に戻ってしまう…。それに、またここに来る保証はどこにもない。
それなのに…、どうして…、どうして、私は彼にー
ー恋を、してしまったのだろう…。
この時は知らなかった。私は清くんと一緒の高校に通うことになることを…。
恥ずかしくて穴…いや、ガマがあったら入りたい!!
そんな感じで思考が暴走する私を止めてくれたのは、柔らかくて、落ち着いた声だった。
「ごめん、見てないし聞いてないことしておくよ、…じゃあ、ね」その言葉を聞いたと同時、私は、思わず岩を飛び降りて立ち去ろうとする彼の腕を掴んだ。
「えっと、何か、その、私に用?」…名前を訊こうとしたのに何言ってんの私!?
心のなかで絶叫し、一人悶々としていたらー
「いや、その、歌声が素敵で…で、気づいたら…ね?」
歌声を褒めてもらうのは初めてじゃない。この子以外の男子にも沢山褒められた…。
でも、何で、何でこんなに胸が熱いんだろう?
「…ありがとう」なんとか微笑みながら答えたけど内心結構取り繕えたか心配だった。
「えっと、君、名前は?」「私は緑青華奈、君は?」
なぜだろう名前を訊かれて答えるだけなのに、どうして、こんなに、ドキドキするんだろう…?
「僕は新海清」
にいみ、せい…。変わった名前…、でも、光を受けて輝く海みたいに綺麗な名前。
今度は少し強引な感じで立ち去ろうとする気配がした。
まだ、訊きたいことがある、のに…、もう帰っちゃうの…?嫌だ、それは嫌だ!
「待って!」気付いたら自分でも驚くくらい大きな声でそう言っていた。
そして、なぜか、高鳴る鼓動を感じながら尋ねた。
「清…くん。君はどこから来たの?」どうしてだろう…彼の名前を言うだけ…ただそれだけなのに、どうしてこんなに、胸が、締め付けられるんだろう…。
「どっからって、東京だけど…」
東、京…ということは内地から来たのか…ということは、きっと夏休みの旅行で来ただけ、なんだろう。
でも、可能ならば、彼…清くんと一緒に居たい…、そう思う自分が居たことにびっくりする。
でもそれは、きっと叶わない願い、数日もすれば彼は…。
そんな夢みたいなことを考えていたらー「とりあえず、手、離してくれ」
少し怒った声色で告げられた。そこでやっと自分がまだ彼の手を掴んでいることに気づいた。
「あ、ご、ごめんね」辛うじてそう謝り申し訳なさと恥ずかしさで今すぐ無かったことにしたかった。
「じゃあね」彼はそう告げ足早に去っていく。私はそれを、ただ、見送ることしか出来なかった。
小さくなっていく大きな背中を見たとき、彼と話していたときに感じたこの不思議な感覚の答えがでた。
私は、清くんのことー
それを実感したとき嬉しさより、悲しさを感じていた。
きっと清くんはすぐに東京に戻ってしまう…。それに、またここに来る保証はどこにもない。
それなのに…、どうして…、どうして、私は彼にー
ー恋を、してしまったのだろう…。
この時は知らなかった。私は清くんと一緒の高校に通うことになることを…。

