次の日、早朝に支度をし、家を出る。宮古島は昼と違って、朝はかなり過ごしやすい。
目的地は昨日の話にあった空港…ではなく、その目と鼻の先にあるビーチだ。小鳥の囀りが良いBGMになる。
そういえば…昨日の不安が嘘みたいに消えている。もしかしたら、普段通り過ごしていたら不安は多少軽減されるのかもしれない。
引越しをしたのは今回が初めてだ…。…初めてだからこんなに不安だったのか?多分そうだ。
歩くこと約1時間、目的地に到着した。観光地といえど朝早い時間に来る人はごく少数のようだ。
エメラルドグリーンの海辺とその彼方に見える青い水平線が良いコントラストになってる。
スマホを取り出し、カメラを起動する。この綺麗な海が強調されるような画角を考え、その角度で一枚、また一枚と撮っていく。
写真撮影に夢中になっていたそのときーー「〜〜〜〜…」
…歌?遠くから微かに歌声らしきものが聞こえてきた。そして、足を無意識のうちに動かしていた。その歌声に文字通り引き込まれるように。
段々と歌声が近いていく。そしてふと見ると…、そこには気持ち良さそうに歌う女の子がいた。岩の上に座って歌っている。歳は僕と同じくらいだろうか。
どのくらい経っただろうか。人の気配に気づいたのか歌が途切れ、視線がぶつかった。彼女の瞳はまるでここの海のようなエメラルドグリーンだった。「!…?!」明らかに狼狽している彼女に落ち着いた声で声を掛ける。「ごめん、見てないし聞いてないことしておくよ、…じゃあ、ね」そう言って立ち去ろうとしたとき、腕を掴まれ引き止められた。「えっと、何か、その、私に用?」ここは正直に白状しておこう「いや、その、歌声が素敵で…で、気づいたら…ね?」日が昇ってきて暑い、さっさと帰りたい。というか、いつまで掴んでんだ?この子?
でも、その言葉を聞いた彼女は、嬉しそうに微笑みながら「…ありがとう」と言った。「えっと、君、名前は?」聞くだけ聞いておこうそう思い訊いた。「私?私は緑青華奈、君は?」「僕は新海清|《にいみせい》」とりあえず自分も名乗って腕をつかむ手を強引に振り解いてさっさと立ち去ろう思い立ったとき、待って!、朝の落ち着いた雰囲気に似合わない大きな声が響いた。そしてこう訊かれた。「清…くん。君はどこから来たの?」「どっからって、東京だけど…」そう言ったら彼女…華奈はエメラルドグリーンの目を見開いて、「そう、なんだ」と言った。「とりあえず、手、離してくれ」若干威圧する感じでそう言った。華奈は「あ、ご、ごめんね」と言ってすんなり離してくれた。「じゃあね」「う、うん」
踵を返して歩き出す。…心なしか、彼女の耳が少し赤みが掛かってた気がした。
その、彼女が…まさか、同じ高校だったとは…この時は思いもしなかった。
目的地は昨日の話にあった空港…ではなく、その目と鼻の先にあるビーチだ。小鳥の囀りが良いBGMになる。
そういえば…昨日の不安が嘘みたいに消えている。もしかしたら、普段通り過ごしていたら不安は多少軽減されるのかもしれない。
引越しをしたのは今回が初めてだ…。…初めてだからこんなに不安だったのか?多分そうだ。
歩くこと約1時間、目的地に到着した。観光地といえど朝早い時間に来る人はごく少数のようだ。
エメラルドグリーンの海辺とその彼方に見える青い水平線が良いコントラストになってる。
スマホを取り出し、カメラを起動する。この綺麗な海が強調されるような画角を考え、その角度で一枚、また一枚と撮っていく。
写真撮影に夢中になっていたそのときーー「〜〜〜〜…」
…歌?遠くから微かに歌声らしきものが聞こえてきた。そして、足を無意識のうちに動かしていた。その歌声に文字通り引き込まれるように。
段々と歌声が近いていく。そしてふと見ると…、そこには気持ち良さそうに歌う女の子がいた。岩の上に座って歌っている。歳は僕と同じくらいだろうか。
どのくらい経っただろうか。人の気配に気づいたのか歌が途切れ、視線がぶつかった。彼女の瞳はまるでここの海のようなエメラルドグリーンだった。「!…?!」明らかに狼狽している彼女に落ち着いた声で声を掛ける。「ごめん、見てないし聞いてないことしておくよ、…じゃあ、ね」そう言って立ち去ろうとしたとき、腕を掴まれ引き止められた。「えっと、何か、その、私に用?」ここは正直に白状しておこう「いや、その、歌声が素敵で…で、気づいたら…ね?」日が昇ってきて暑い、さっさと帰りたい。というか、いつまで掴んでんだ?この子?
でも、その言葉を聞いた彼女は、嬉しそうに微笑みながら「…ありがとう」と言った。「えっと、君、名前は?」聞くだけ聞いておこうそう思い訊いた。「私?私は緑青華奈、君は?」「僕は新海清|《にいみせい》」とりあえず自分も名乗って腕をつかむ手を強引に振り解いてさっさと立ち去ろう思い立ったとき、待って!、朝の落ち着いた雰囲気に似合わない大きな声が響いた。そしてこう訊かれた。「清…くん。君はどこから来たの?」「どっからって、東京だけど…」そう言ったら彼女…華奈はエメラルドグリーンの目を見開いて、「そう、なんだ」と言った。「とりあえず、手、離してくれ」若干威圧する感じでそう言った。華奈は「あ、ご、ごめんね」と言ってすんなり離してくれた。「じゃあね」「う、うん」
踵を返して歩き出す。…心なしか、彼女の耳が少し赤みが掛かってた気がした。
その、彼女が…まさか、同じ高校だったとは…この時は思いもしなかった。

