不安で、いっぱいだ。飛行機の窓から流れる雲を見つめながらそう思った。夏休み前、父さんから告げられた言葉が未だに頭の中で響いている。「清《せい》、由美、しっかり聞いてくれ…。実は、転勤が決まって…。宮古島に引っ越さなきゃならないんだ…」
過去のことで不機嫌になってもしょうがない…。そう自分に言い聞かせたところで聞いて機内アナウンスが流れてきた。
『本日はスターアローグループAJL328便をご利用いたただきありがとうございます。本機は宮古空港への着陸態勢に入ります。
安全のため、シートベルトを着用しお持ちください。Thank you for flying Star Arrow Group Flight AJL328 today. This aircraft is now preparing to land at Miyako Airport.
For your safety, please fasten your seatbelts and hold on to them. 』
飛行機に乗るのは、初めてだ…。もしかしたら不安だったのはこれのせいもあるのかもしれない。そう内心言い訳をする。
荷物を受け取って、空港を出る。さすがに宮古島、都内より蒸し暑い。「あれ?父さんは?」いつのまにかいなくなってた…。「車、取りに行ったよ」「ああ…なるほど」数分後、父さんが車に乗って現れた。それに荷物を積み込み新しい自宅へ出発する。
宮古島はそこまで大きい島ではないため新居へはさほど時間はかからない。せいぜい30分ぐらいの、はず…。なのに…なんで、こんなに長く感じるんだ?不安からか普段は浮かばないネガティブな考えが浮かぶ…。悶々としているうちに新居に到着した。
「ここは空港に近いからたまにうるさいかもだが…我慢してくれ」空港に、近い?そう思い父さんに訊いた。「この家、宮古空港のほぼ反対にあるのに、どういうこと?」「ああ、この先にある橋渡ったとこに下地島っていう島があるんだ。そこに、まぁ、宮古空港よりかは小さい空港があるんだ」「あ、そう」宮古島は空港が二つあるのか…。となれば…。「明日の朝、散歩に行ってくる」不安な気持ちを少しでも軽くしたいのが本音だが。「了解」「うん、いってらっしゃい」こういうとき根掘り葉掘り訊いてこない両親は嬉しい。
夕飯を済ませ、風呂に入る。自分の部屋と言われた部屋で横になると心地良い微睡みが来た。それに身を預けそのまま眠りについた。
その日は珍しく夢を見た。油断して溺れていたところを見知らぬ少女が助けてくれる夢だった。顔は…わからない。光で隠れていたから。ただ、分かったのは彼女が自分をこの上なく心配してくれていること、そして、その言葉から何かを汲み取り高鳴る自分の鼓動だった。でも、目覚めたときはまさに夢のように何一つも覚えていなかった。
…あの時まで。
過去のことで不機嫌になってもしょうがない…。そう自分に言い聞かせたところで聞いて機内アナウンスが流れてきた。
『本日はスターアローグループAJL328便をご利用いたただきありがとうございます。本機は宮古空港への着陸態勢に入ります。
安全のため、シートベルトを着用しお持ちください。Thank you for flying Star Arrow Group Flight AJL328 today. This aircraft is now preparing to land at Miyako Airport.
For your safety, please fasten your seatbelts and hold on to them. 』
飛行機に乗るのは、初めてだ…。もしかしたら不安だったのはこれのせいもあるのかもしれない。そう内心言い訳をする。
荷物を受け取って、空港を出る。さすがに宮古島、都内より蒸し暑い。「あれ?父さんは?」いつのまにかいなくなってた…。「車、取りに行ったよ」「ああ…なるほど」数分後、父さんが車に乗って現れた。それに荷物を積み込み新しい自宅へ出発する。
宮古島はそこまで大きい島ではないため新居へはさほど時間はかからない。せいぜい30分ぐらいの、はず…。なのに…なんで、こんなに長く感じるんだ?不安からか普段は浮かばないネガティブな考えが浮かぶ…。悶々としているうちに新居に到着した。
「ここは空港に近いからたまにうるさいかもだが…我慢してくれ」空港に、近い?そう思い父さんに訊いた。「この家、宮古空港のほぼ反対にあるのに、どういうこと?」「ああ、この先にある橋渡ったとこに下地島っていう島があるんだ。そこに、まぁ、宮古空港よりかは小さい空港があるんだ」「あ、そう」宮古島は空港が二つあるのか…。となれば…。「明日の朝、散歩に行ってくる」不安な気持ちを少しでも軽くしたいのが本音だが。「了解」「うん、いってらっしゃい」こういうとき根掘り葉掘り訊いてこない両親は嬉しい。
夕飯を済ませ、風呂に入る。自分の部屋と言われた部屋で横になると心地良い微睡みが来た。それに身を預けそのまま眠りについた。
その日は珍しく夢を見た。油断して溺れていたところを見知らぬ少女が助けてくれる夢だった。顔は…わからない。光で隠れていたから。ただ、分かったのは彼女が自分をこの上なく心配してくれていること、そして、その言葉から何かを汲み取り高鳴る自分の鼓動だった。でも、目覚めたときはまさに夢のように何一つも覚えていなかった。
…あの時まで。

