「だって、ユウナが、調子乗ってるから……」
家に帰ってから、ひとりで呟く。今日も制服のままベッドの上に転がって、スマホ画面を操作する。画面に映っているのは『幽霊ちゃん』のSNSアカウントだ。過去の投稿を遡ってみると、イラストだけではなく文章のみの投稿もいくつかあった。
『今日もうまく会話に入れなかった。私が喋るとみんな面倒くさそうな顔する』
『昔は仲良くしてくれてたけど、私がダサいから一緒にいたくないって思ってるんだろうな』
『3人組作れとか2人組作れとか言わないでほしい。私は4人組の時しか仲間に入れてもらえない』
『学校行きたくないな』
過去の投稿を遡りながら、心がぎゅうっと、雑巾みたいに絞られたように締め付けられる。思い当たることが、ありすぎる。ユウナが入って来れない会話、ズレた回答をした時の私たちの反応、3人組を作る時、昔と変わった私の態度。
私とユウナは同じ中学校に通っていて、当時は仲が良かった。家が同じ方向だったのでいつも一緒に帰っていたし、たまに公園のベンチに寄り道していた。
中学校は買い食いもスマホも禁止だったから、家から持ってきていた水筒の残りだけで何時間も喋っていて、気付けば辺りが真っ暗になっていたなんてこともあった。
そういえばその時も、ユウナに絵を見せてもらったことがあった。ノートに描いた女の子のイラストを見て、感動したことも今頃思い出した。ユウナはあれからずっと努力して、イラストを頑張っていたのだなと思う。そんなに仲が良かったのに、高校生になってからは、ユウナが絵を描くのが好きなことすら忘れてしまっていた。
モモカやリコと一緒にいるためには、私もそっち側に行かないといけない。染めたことのない、艶のない髪に、メイクもしたことないようなユウナと一緒だと思われたら、いけない。そんな強迫観念に駆られて、ユウナのことを蔑ろにしていた。それどころか、私はユウナよりマシだと、そう思うための道具のように思っていた。
「……最低だな、」
私は友達のことを、アクセサリーみたいに考えていたのかもしれない。可愛くてきらきらしたアクセサリーが欲しくて、昔から一緒にいた友達よりも、モモカやリコを選んだのだ。
ずっと胸の奥に溜まっていた黒いもやもやとした感情がより大きくなって、身体の中に充満する。毒が身体中に回るみたいに、体が重くなる。
息が、苦しい。吸っても吸っても酸素がうまく入ってこなくて、胸がいたい。目を閉じても思い浮かぶのは、みんなが私を非難するように見ていた表情ばかりだった。

