僕の住む家は馬込川のほとりにある。
すぐそばに架かっている上島橋という小さな橋を渡りまっすぐ走ると、ショッピングモール・イオン市野に着く。
土曜日のお昼過ぎ、西町さんとは僕の家の前で待ちあわせをした。
西町さんはうちの場所を知っている。
先日みずべの公園にサッカーボールを持っていくとき、玄関の前まで来ていたからだ。
西町さんの家からイオンへ向かうと、ちょうど通り道になるので都合がよかった。
「おまたせー」
西町さんはいつものシティ・サイクルでやってきた。
休日の今日はもちろん私服。
西町さんは全体的にシックで大人っぽい服装でまとめていた。
ブラウンのキュロット・スカート。
上はベージュの、ベージュの……シャツみたいな形で何か柔らかそうな服。
女の子の服は呼びかたが多すぎる。
妹の口からチュニックとかブラウスとか言葉はいろいろ聞くけれど、どれがどれだかサッパリだ。
でもさすがに靴はわかる。黒のスニーカだ。
あと背中には小さめの白いリュック。
頭にかぶってるのはキャスケット。
キュロットと同じくブラウンのもの。
これがわかるだけでも褒めてほしい。
普段は冬服のブレザーに包まれていてわからなかったけれど、こうして薄手の私服になるとよくわかる。
西町さんは本当にスタイルがいい。
とにかく細い。モデルみたい。
腰回りからお腹からその上まで全部細い。
そっと目をそらす。
僕はといえばシャツに薄手のパーカだ。
シンプルそのもの。
制服のときもそうだけど、僕はパーカとかカーディガンとか、軽くて柔らかい上着を羽織るのが好きだ。
ベストでもいい。
とにかくシャツだけだと、体がむき出しになっている感じがして何となく落ち着かない。
五月中旬の今日、空は青く晴れている。
午後の日射しは強く、少し汗ばみそうなくらいの陽気。
予報では降水確率四十パーセントとなっていたが、この分なら大丈夫だろう。
うちを出て自転車で五分ほど走ると、早くもイオン市野に到着する。
街路樹の向こうに見え隠れしている三階建てのビルがイオンだ。
延々と続く街路樹の切れ目、自転車用の入り口から入ると、視界が一気に開ける。
ベージュと白の建物はどこまでも伸び、駐車場は地平線まで届かんばかりに広がっている。
自転車を駐輪場に停め、一番近い出入り口から屋内に入る。
あたりを見回し、「わー」と小さく歓声をあげる西町さん。
「街がスッポリ入ってるって、本当だね」
「ファッション、雑貨、スポーツ、アウトドア、家具、食事、カフェとなんでもあるからね。まずは本屋に行こうか。何か買うんでしょ?」
「うん、お願い。フロアガイドもらってきていい?」
黙って立っていれば大人にしか見えないのに、西町さんは声音も身振りも遊園地に来た小学生みたいだった。
気持ちはわかる。
幼いころイオンは僕にとってお城だった。
どこかに王様がいるんじゃないかと思っていた。
イオンなんてきっと全国どこにでもある。
何なら浜松市内にだって他にある。
それでも僕らにとってイオンが地元で自慢できるスポットの一つなのは間違いない。
落ち着きなく走っていく西町さんを早足で追いかける。
本屋に着くと、西町さんは書棚を検め、SFを主に扱う出版社の本を並べた棚の列に入った。
「怜先輩が読んでたのってどんな本?」
「SFの古典で『たったひとつの冴えたやりかた』っていう本。……あった!」
西町さんが書棚から取りだした文庫本の表紙は、つい最近目にしたばかりのものだった。
「西町さん、それ僕持ってるよ」
「そうなの?」
「僕も怜先輩に勧められて、ザザシティで買ったんだ。くらら先輩が好きなんだってさ」
「そう言われたら環くんは買っちゃうよね。じゃあ今日帰りに借りて帰ってもいい?」
と、西町さんは手にとった文庫本を棚へ戻した。
「いいよ。もう読み終わってるし」
「ありがと。用事は片付いちゃったけど、せっかくだし他のジャンルを見ていきますか。先輩たちのオススメを読むのも大事だけど、わたしたちからも何か提案したいじゃない」
「賛成。先輩たち、よくオススメがないか訊いてくるもんね」
「怜先輩はSF、ミステリでしょ。で、くらら先輩はファンタジーが守備範囲。それ以外のジャンルがいいね」
「何がいいんだろう。そういえば、こないだザザシティで怜先輩と何か買ったって言ってなかった?」
「『狭き門』っていうフランス文学。実はまだ読めてないんだよね。最近読まなきゃいけない積ん読が増える一方で」
「わかる。わかってはいても、本屋来たらまた買っちゃうんだけど」
「ね。今日また増えちゃう。きゃー」
嬉しい悲鳴をこぼす西町さんと広い店内をめぐり、僕たちは二冊ずつ文庫本を買った。
土曜午後のイオンは人間のミキサーみたいだった。
立ち並ぶショップのそれぞれを目指し、だだっ広い廊下を縦横斜めと無秩序に人々が往来している。
そんな人の波をかき分けながら、スポーツ・ショップへと向かう。
フットサルのコーナーは、これまでにも何度か覗いたことがあった。
サッカー用品のコーナーのすぐ隣にあるので、興味本位でシューズを手にとったこともある。
しかしいざ買うものを選ぶとなると、やっぱり迷う。
サッカーのスパイクやトレーニング・シューズと何が違うのかまるでわからない。
「西町さん。選ぶコツとか、オススメとか、」
目についたシューズを手に取りながら西町さんに尋ね……ようとしたが、隣には誰もいなかった。
気づけば西町さんはすぐ隣のトレーニング・シューズのコーナーにいた。
トレシュはサッカー用のシューズだ。
ソールの滑り止めが細かい凸凹になっているのがトレシュ。
突き出たスタッドになっているのがスパイク。
足の負担はトレシュのほうが少ない。
点で地面で接するスタッドと違い、トレシュは面で設置するから衝撃が分散されるらしい。
その名の通り練習用ではあるけれど、もちろん試合でだって使えるものだ。
トレシュは固い人工芝や土のグラウンドに適している。
「西町さん、サッカー始めるの?」
「これ、フットサル用のトレシュだよ」
「え、サッカー用のと違うの?」
「らしいよ? わたしはサッカー用使ったことないから、違いはわからないけど」
「ポップに書いてあるね。フットサル用のほうがソールの凹凸が浅いみたい」
「『突起が短いほうが足裏でのコントロールが利きます、サッカー用のほうは突起が長くて滑りにくくなっています』だって。なるほどね」
「なるほどね。こないだの大会はサッカー用のトレシュで出たんだけど、確かに足裏は使えなかったな。ボールの感触が伝わってこなくて」
「いま使ってるトレシュ、サイズ小さくなっちゃったんだよね。今日ついでに買っていこうかな」
「ところで西町先生。サルシュのオススメとかありません?」
すっかり自分のお買いものに夢中になっている先生にお尋ねする。
「アンブロの買っとけば間違いないよ」
と西町さんはトレシュを見つめたまま投げやりに答えてきた。
「アンブロ好きなの?」
「おじいちゃんがアンブロ以外認めない人なんですよ。イングランド人の魂なんだそうで」
「そういえばアンブロってイングランドのメーカだっけ。でも買収されちゃったし、何ならイングランド代表のサプライヤもいまじゃナイキだよね」
「それうちのおじいちゃんの前で言ったらサッカーボールにされるよ」
と軽口を叩いたあと、西町さんはようやくトレシュの棚から離れ、屋内用シューズのコーナーに目を向けてくれた。
「体育館で使うんだったら、ソールがラバーになってるかだけ注意だね。 大会だと『靴底が飴色、白、無色のもの』っていう規定があったりするけど、サルシュのコーナーにあるものだったらまず規定は満たしてるはずだし」
「そんな決まりあるんだ。……結局そのアドバイスじゃ選択肢が減らなかったんだけど」
「メーカごとに形とかサイズ感のクセはあると思うけど、結局は合うか合わないかだもん。サッカーのスパイクだってそうでしょ。試し履きしたら? そのためにお店来てるんだし」
ごもっとも。
ただ買うだけならネット通販のほうが楽だ。
アカウントを持っている親に頼めばいい。
お店に来たからには実際履いてみないともったいない。
「ま、わたしはデザインで選ぶけどね! サイズさえ合ってれば履いてるうちに慣れてくるものだし」
と、西町さんから最終的にとてもありがたいアドバイスをいただいた。
彼女の弁にも一理ある。
結局のところシューズの良し悪しは自分に合っているかどうかだ。
それは使い勝手という意味でもあるし、デザインが気にいるかも含まれる。
「あ、店員さんだ。わたしトレシュの試し履きしてくるね」
ちょうどトレシュのコーナーに来た店員さんを捕まえるべく、西町さんは小走りに駆けていった。
これ以上のアドバイスは期待できそうになかったので、ざっと売り場を見てよいデザインのものがないか見繕う。
気になったのは、オレンジに白のひし形が描かれたサルシュ。
メーカはアンブロ。
西町さんの言いなりになるのも癪だけど、よいものはよい。
店員さんにお願いしていくつかサイズを試してみた結果、二五.五センチを選択。
結局スパイクやトレシュと同じサイズに落ち着いた。
「おまたせ、環くん」
お店の出口で合流した西町さんも、靴箱の入った大きなビニル袋を手に提げていた。
「お買いものも済んだし、ちょっと休もうか」
僕が提案すると、西町さんは「いいけど」となぜか少し不満げな声で応えた。
すぐそばに架かっている上島橋という小さな橋を渡りまっすぐ走ると、ショッピングモール・イオン市野に着く。
土曜日のお昼過ぎ、西町さんとは僕の家の前で待ちあわせをした。
西町さんはうちの場所を知っている。
先日みずべの公園にサッカーボールを持っていくとき、玄関の前まで来ていたからだ。
西町さんの家からイオンへ向かうと、ちょうど通り道になるので都合がよかった。
「おまたせー」
西町さんはいつものシティ・サイクルでやってきた。
休日の今日はもちろん私服。
西町さんは全体的にシックで大人っぽい服装でまとめていた。
ブラウンのキュロット・スカート。
上はベージュの、ベージュの……シャツみたいな形で何か柔らかそうな服。
女の子の服は呼びかたが多すぎる。
妹の口からチュニックとかブラウスとか言葉はいろいろ聞くけれど、どれがどれだかサッパリだ。
でもさすがに靴はわかる。黒のスニーカだ。
あと背中には小さめの白いリュック。
頭にかぶってるのはキャスケット。
キュロットと同じくブラウンのもの。
これがわかるだけでも褒めてほしい。
普段は冬服のブレザーに包まれていてわからなかったけれど、こうして薄手の私服になるとよくわかる。
西町さんは本当にスタイルがいい。
とにかく細い。モデルみたい。
腰回りからお腹からその上まで全部細い。
そっと目をそらす。
僕はといえばシャツに薄手のパーカだ。
シンプルそのもの。
制服のときもそうだけど、僕はパーカとかカーディガンとか、軽くて柔らかい上着を羽織るのが好きだ。
ベストでもいい。
とにかくシャツだけだと、体がむき出しになっている感じがして何となく落ち着かない。
五月中旬の今日、空は青く晴れている。
午後の日射しは強く、少し汗ばみそうなくらいの陽気。
予報では降水確率四十パーセントとなっていたが、この分なら大丈夫だろう。
うちを出て自転車で五分ほど走ると、早くもイオン市野に到着する。
街路樹の向こうに見え隠れしている三階建てのビルがイオンだ。
延々と続く街路樹の切れ目、自転車用の入り口から入ると、視界が一気に開ける。
ベージュと白の建物はどこまでも伸び、駐車場は地平線まで届かんばかりに広がっている。
自転車を駐輪場に停め、一番近い出入り口から屋内に入る。
あたりを見回し、「わー」と小さく歓声をあげる西町さん。
「街がスッポリ入ってるって、本当だね」
「ファッション、雑貨、スポーツ、アウトドア、家具、食事、カフェとなんでもあるからね。まずは本屋に行こうか。何か買うんでしょ?」
「うん、お願い。フロアガイドもらってきていい?」
黙って立っていれば大人にしか見えないのに、西町さんは声音も身振りも遊園地に来た小学生みたいだった。
気持ちはわかる。
幼いころイオンは僕にとってお城だった。
どこかに王様がいるんじゃないかと思っていた。
イオンなんてきっと全国どこにでもある。
何なら浜松市内にだって他にある。
それでも僕らにとってイオンが地元で自慢できるスポットの一つなのは間違いない。
落ち着きなく走っていく西町さんを早足で追いかける。
本屋に着くと、西町さんは書棚を検め、SFを主に扱う出版社の本を並べた棚の列に入った。
「怜先輩が読んでたのってどんな本?」
「SFの古典で『たったひとつの冴えたやりかた』っていう本。……あった!」
西町さんが書棚から取りだした文庫本の表紙は、つい最近目にしたばかりのものだった。
「西町さん、それ僕持ってるよ」
「そうなの?」
「僕も怜先輩に勧められて、ザザシティで買ったんだ。くらら先輩が好きなんだってさ」
「そう言われたら環くんは買っちゃうよね。じゃあ今日帰りに借りて帰ってもいい?」
と、西町さんは手にとった文庫本を棚へ戻した。
「いいよ。もう読み終わってるし」
「ありがと。用事は片付いちゃったけど、せっかくだし他のジャンルを見ていきますか。先輩たちのオススメを読むのも大事だけど、わたしたちからも何か提案したいじゃない」
「賛成。先輩たち、よくオススメがないか訊いてくるもんね」
「怜先輩はSF、ミステリでしょ。で、くらら先輩はファンタジーが守備範囲。それ以外のジャンルがいいね」
「何がいいんだろう。そういえば、こないだザザシティで怜先輩と何か買ったって言ってなかった?」
「『狭き門』っていうフランス文学。実はまだ読めてないんだよね。最近読まなきゃいけない積ん読が増える一方で」
「わかる。わかってはいても、本屋来たらまた買っちゃうんだけど」
「ね。今日また増えちゃう。きゃー」
嬉しい悲鳴をこぼす西町さんと広い店内をめぐり、僕たちは二冊ずつ文庫本を買った。
土曜午後のイオンは人間のミキサーみたいだった。
立ち並ぶショップのそれぞれを目指し、だだっ広い廊下を縦横斜めと無秩序に人々が往来している。
そんな人の波をかき分けながら、スポーツ・ショップへと向かう。
フットサルのコーナーは、これまでにも何度か覗いたことがあった。
サッカー用品のコーナーのすぐ隣にあるので、興味本位でシューズを手にとったこともある。
しかしいざ買うものを選ぶとなると、やっぱり迷う。
サッカーのスパイクやトレーニング・シューズと何が違うのかまるでわからない。
「西町さん。選ぶコツとか、オススメとか、」
目についたシューズを手に取りながら西町さんに尋ね……ようとしたが、隣には誰もいなかった。
気づけば西町さんはすぐ隣のトレーニング・シューズのコーナーにいた。
トレシュはサッカー用のシューズだ。
ソールの滑り止めが細かい凸凹になっているのがトレシュ。
突き出たスタッドになっているのがスパイク。
足の負担はトレシュのほうが少ない。
点で地面で接するスタッドと違い、トレシュは面で設置するから衝撃が分散されるらしい。
その名の通り練習用ではあるけれど、もちろん試合でだって使えるものだ。
トレシュは固い人工芝や土のグラウンドに適している。
「西町さん、サッカー始めるの?」
「これ、フットサル用のトレシュだよ」
「え、サッカー用のと違うの?」
「らしいよ? わたしはサッカー用使ったことないから、違いはわからないけど」
「ポップに書いてあるね。フットサル用のほうがソールの凹凸が浅いみたい」
「『突起が短いほうが足裏でのコントロールが利きます、サッカー用のほうは突起が長くて滑りにくくなっています』だって。なるほどね」
「なるほどね。こないだの大会はサッカー用のトレシュで出たんだけど、確かに足裏は使えなかったな。ボールの感触が伝わってこなくて」
「いま使ってるトレシュ、サイズ小さくなっちゃったんだよね。今日ついでに買っていこうかな」
「ところで西町先生。サルシュのオススメとかありません?」
すっかり自分のお買いものに夢中になっている先生にお尋ねする。
「アンブロの買っとけば間違いないよ」
と西町さんはトレシュを見つめたまま投げやりに答えてきた。
「アンブロ好きなの?」
「おじいちゃんがアンブロ以外認めない人なんですよ。イングランド人の魂なんだそうで」
「そういえばアンブロってイングランドのメーカだっけ。でも買収されちゃったし、何ならイングランド代表のサプライヤもいまじゃナイキだよね」
「それうちのおじいちゃんの前で言ったらサッカーボールにされるよ」
と軽口を叩いたあと、西町さんはようやくトレシュの棚から離れ、屋内用シューズのコーナーに目を向けてくれた。
「体育館で使うんだったら、ソールがラバーになってるかだけ注意だね。 大会だと『靴底が飴色、白、無色のもの』っていう規定があったりするけど、サルシュのコーナーにあるものだったらまず規定は満たしてるはずだし」
「そんな決まりあるんだ。……結局そのアドバイスじゃ選択肢が減らなかったんだけど」
「メーカごとに形とかサイズ感のクセはあると思うけど、結局は合うか合わないかだもん。サッカーのスパイクだってそうでしょ。試し履きしたら? そのためにお店来てるんだし」
ごもっとも。
ただ買うだけならネット通販のほうが楽だ。
アカウントを持っている親に頼めばいい。
お店に来たからには実際履いてみないともったいない。
「ま、わたしはデザインで選ぶけどね! サイズさえ合ってれば履いてるうちに慣れてくるものだし」
と、西町さんから最終的にとてもありがたいアドバイスをいただいた。
彼女の弁にも一理ある。
結局のところシューズの良し悪しは自分に合っているかどうかだ。
それは使い勝手という意味でもあるし、デザインが気にいるかも含まれる。
「あ、店員さんだ。わたしトレシュの試し履きしてくるね」
ちょうどトレシュのコーナーに来た店員さんを捕まえるべく、西町さんは小走りに駆けていった。
これ以上のアドバイスは期待できそうになかったので、ざっと売り場を見てよいデザインのものがないか見繕う。
気になったのは、オレンジに白のひし形が描かれたサルシュ。
メーカはアンブロ。
西町さんの言いなりになるのも癪だけど、よいものはよい。
店員さんにお願いしていくつかサイズを試してみた結果、二五.五センチを選択。
結局スパイクやトレシュと同じサイズに落ち着いた。
「おまたせ、環くん」
お店の出口で合流した西町さんも、靴箱の入った大きなビニル袋を手に提げていた。
「お買いものも済んだし、ちょっと休もうか」
僕が提案すると、西町さんは「いいけど」となぜか少し不満げな声で応えた。


