消えたい私は、いつか消える君に恋をした。


夜になると、世界は少しだけ正直になる。
昼間は見えなかったものが浮かび上がり、押し込めていた感情が、静かに息をし始める。

私はずっと、夜が怖かった。
理由は分からない。ただ、何も考えずにいられる時間ほど、心がうるさくなる気がしていた。

誰かに必要とされていないのではないか。
ここにいる意味はあるのか。
そんな問いが、答えを持たないまま胸の中を巡る。

それでも、声に出して助けを求めることはできなかった。
言葉にした瞬間、すべてが壊れてしまいそうで。
だから私は、何もなかったふりをして、毎日をやり過ごしていた。

ーーあの夜、あなたに出会うまでは。
ありえない存在。
現実からはみ出したはずの存在。

最初は信じていなかった。
信じてはいけないと思った。

けれど、不思議と怖くはなかった。
その人は、私の話を遮らず、否定せず、ただそこにいてくれた。

気づけば私は、心の奥に沈めていた言葉を、一つずつ吐き出していた。
誰にも見せなかった弱さを、初めて誰かに預けていた。

それが、どんな結末につながるのかも知らずに。

これは、失うことが約束された出会い。
それでも確かに残ったものがある。

名前を呼ばれた記憶。
隣に並んで過ごした時間。
消えてしまっても、消えなかった感情。

夜は終わる。
そして、その先には必ず、朝が待っている。