「そろそろ暗くなってきたね」
「うん……夜ごはんどうする?」
「軽く食っとこうぜ」
「そうだね。僕もそれがいいと思う」
私たちは空を見上げながら、歩きながら食べられるものを買おう、ということを話していた。遊園地に着いたのは夕方だったけど、結局ゲームセンターエリアではなく、メリーゴーランドやゴーカートなど、普通に遊んでしまった。もちろん、それはすごく楽しかったけれど。六時ぐらいになってあたりがもう暗くなってきたのだった。
みんなでホットドッグ屋さんを見つけて、それぞれ一つずつ頼む。それを食べながら、観覧車に向かう。
「観覧車の中でプレゼント交換なんて、いいアイデアすぎるよ、灯鞠!」
「えへへ、どこかの青春小説で読んだだけだよ」
そう、私は遊園地に入る前に、プレゼント交換のタイミングについて話した時に、皆で同じゴンドラに乗って、そこでプレゼントを交換することを提案した。遊園地には音があふれている。せっかくのプレゼント交換だし、少し静かなところでやりたかったのだ。
「夜見さんって、こういうセンスすごくいいよね。尊敬する」
「ほんと? ありがとう」
涼風くんがナチュラルに褒めてくれるので、私は嬉しくてへらっと顔を崩してしまう。すると、一条くんと天黎が同時にくすっと笑いを漏らす。
「本当に灯鞠ってかわいいよね」
「ウサギって感じがしないか?」
「私はハムスターに一票」
「僕は子犬」
「え、なんでみんな急にそんな話になるの! っていうか、ウサギとハムスターが小動物なのになんで涼風くんだけ子犬?」
私があたふたしていると、天黎はにやりと笑って涼風くんを見る。
「ちなみに涼風、犬種は?」
よし来た、と言いたげに、涼風くんの眉が少し上がる。
「ゴールデンレトリーバー」
「大型犬っ!?」
私の悲鳴じみた声に、あははっ、とほかの三人が声を上げて笑った。もう、と口を膨らませながらも、私はにこにこしてしまう。また四人の時間が、皆の笑顔が戻ってよかった。ふとした時に、そう感じてしまう。
……あれ。
視界の端に、何か知っているものが見えた気がした。もう一度そちらを見ても、何もない。
「灯鞠ちゃん?」
「あ、ごめん何でもない。早く観覧車行こ」
一条くんに返事を返すと、私は慌てて何もなかったふりをした。けれど……天黎も、何かを感じ取ったかのように、一瞬暗い表情を見せた。
「じゃあ、プレゼント回しを始めまーす!」
観覧車に乗っている時間はあっという間だ。だから、早くやってしまおうということになって、私たちはゴンドラの扉が閉まると早速、カバンからプレゼントを取り出した。そして、一条くんの掛け声に合わせてプレゼントを回し始めた。
今回のプレゼント回しは、目をつむって行われる。そして、誰かがストップ! と言ったら、そこで回すのをやめる、というルールにした。
「ストップ!」
一番最初にストップの声を上げたのは、天黎だ。私たちは目を開ける。私の前には、涼風くんのプレゼント。天黎の前には、私のプレゼント。一条くんの前には、天黎のプレゼント。涼風くんの前には、一条くんのプレゼントがあった。私たちはいっせいにその袋を開ける。
「わあっ!」
私の中に合ったプレゼントは、きれいなハンカチだ。夜空をモチーフにしているのか、光を反射して煌めくラメが、紺色のふわふわの布地にちりばめられている。あと二つ、アロマキャンドルが入れられていた。私はそれらを見つめる。
「大事にするね」
「ありがとう」
涼風くんは嬉しそうに微笑んだ。彼の前には、シンプルなネックレスとブレスレットが一つずつ。ネックレスのチャームは偽だろうけど宝石がはめ込まれている。ルビーだ。ブレスレットは、金色のコーティングがされている。
涼風くんは隣に座る一条くんの膝の上を見た。
「光海は?」
「こんなの貰った」
天黎がチョイスしたプレゼントは、焦げ茶色のブランケットと、キーホルダー。ブランケットはシンプルな無地で、暖かそうだ。キーホルダーは、星が連なっているお洒落なアイテムだった。一条くんはそれらを見つめて微笑む。
「さんきゅー、天黎」
「はいはい。星ならみんな好きかなって思ってたんだけど」
「結構好み」
「ならよかった」
天黎は少しほっとしたような表情で笑う。もしかしたら一条くんにあげたくて、ストップの声を上げたのかもしれない。そんな天黎の前には、私が選んだプレゼントがある。
私が選んだのは、シンプルなシャーペンと、ガラス製の置物だ。空色のウサギと桃色のウサギが背中合わせて座っている、ただそれだけのものだ。誰に行くかわからなかったから、無難なものを選んだ。
「灯鞠、めっちゃ可愛い。ありがとう」
「えへへ、喜んでもらえてよかった」
私は涼風くんからもらったハンカチを握りしめながら、ゴンドラの窓から外を見た。
「わあ……」
遠くに見える海を、月がぼんやりと照らす。その手前にある町は、家から洩れる灯りで煌めいていて。反対側に視線を投げれば、明るい遊園地が見える。ライトアップされている丘もよく見える。クリスマスだからと設置されているツリーの周りに、多くの人が集まっている。
「綺麗だね」
「ほんと」
一条くんと天黎も、そろって町のほうを眺める。二人とも、穏やかな微笑みを浮かべていた。ふと、前に座る涼風くんが、私の足をちょんちょん、とつついた。私が涼風くんのほうを見ると、彼は微笑む。
「冬に来れて、よかったね」
その言葉で、思い出した。あの夏の日、遊園地に来て。私は、願った。また来たいねって。私はふふっとほほ笑んだ。
「うん」
私の中で、気持ちが固まる。
やっぱり私……涼風くんのこと、好き。
「うん……夜ごはんどうする?」
「軽く食っとこうぜ」
「そうだね。僕もそれがいいと思う」
私たちは空を見上げながら、歩きながら食べられるものを買おう、ということを話していた。遊園地に着いたのは夕方だったけど、結局ゲームセンターエリアではなく、メリーゴーランドやゴーカートなど、普通に遊んでしまった。もちろん、それはすごく楽しかったけれど。六時ぐらいになってあたりがもう暗くなってきたのだった。
みんなでホットドッグ屋さんを見つけて、それぞれ一つずつ頼む。それを食べながら、観覧車に向かう。
「観覧車の中でプレゼント交換なんて、いいアイデアすぎるよ、灯鞠!」
「えへへ、どこかの青春小説で読んだだけだよ」
そう、私は遊園地に入る前に、プレゼント交換のタイミングについて話した時に、皆で同じゴンドラに乗って、そこでプレゼントを交換することを提案した。遊園地には音があふれている。せっかくのプレゼント交換だし、少し静かなところでやりたかったのだ。
「夜見さんって、こういうセンスすごくいいよね。尊敬する」
「ほんと? ありがとう」
涼風くんがナチュラルに褒めてくれるので、私は嬉しくてへらっと顔を崩してしまう。すると、一条くんと天黎が同時にくすっと笑いを漏らす。
「本当に灯鞠ってかわいいよね」
「ウサギって感じがしないか?」
「私はハムスターに一票」
「僕は子犬」
「え、なんでみんな急にそんな話になるの! っていうか、ウサギとハムスターが小動物なのになんで涼風くんだけ子犬?」
私があたふたしていると、天黎はにやりと笑って涼風くんを見る。
「ちなみに涼風、犬種は?」
よし来た、と言いたげに、涼風くんの眉が少し上がる。
「ゴールデンレトリーバー」
「大型犬っ!?」
私の悲鳴じみた声に、あははっ、とほかの三人が声を上げて笑った。もう、と口を膨らませながらも、私はにこにこしてしまう。また四人の時間が、皆の笑顔が戻ってよかった。ふとした時に、そう感じてしまう。
……あれ。
視界の端に、何か知っているものが見えた気がした。もう一度そちらを見ても、何もない。
「灯鞠ちゃん?」
「あ、ごめん何でもない。早く観覧車行こ」
一条くんに返事を返すと、私は慌てて何もなかったふりをした。けれど……天黎も、何かを感じ取ったかのように、一瞬暗い表情を見せた。
「じゃあ、プレゼント回しを始めまーす!」
観覧車に乗っている時間はあっという間だ。だから、早くやってしまおうということになって、私たちはゴンドラの扉が閉まると早速、カバンからプレゼントを取り出した。そして、一条くんの掛け声に合わせてプレゼントを回し始めた。
今回のプレゼント回しは、目をつむって行われる。そして、誰かがストップ! と言ったら、そこで回すのをやめる、というルールにした。
「ストップ!」
一番最初にストップの声を上げたのは、天黎だ。私たちは目を開ける。私の前には、涼風くんのプレゼント。天黎の前には、私のプレゼント。一条くんの前には、天黎のプレゼント。涼風くんの前には、一条くんのプレゼントがあった。私たちはいっせいにその袋を開ける。
「わあっ!」
私の中に合ったプレゼントは、きれいなハンカチだ。夜空をモチーフにしているのか、光を反射して煌めくラメが、紺色のふわふわの布地にちりばめられている。あと二つ、アロマキャンドルが入れられていた。私はそれらを見つめる。
「大事にするね」
「ありがとう」
涼風くんは嬉しそうに微笑んだ。彼の前には、シンプルなネックレスとブレスレットが一つずつ。ネックレスのチャームは偽だろうけど宝石がはめ込まれている。ルビーだ。ブレスレットは、金色のコーティングがされている。
涼風くんは隣に座る一条くんの膝の上を見た。
「光海は?」
「こんなの貰った」
天黎がチョイスしたプレゼントは、焦げ茶色のブランケットと、キーホルダー。ブランケットはシンプルな無地で、暖かそうだ。キーホルダーは、星が連なっているお洒落なアイテムだった。一条くんはそれらを見つめて微笑む。
「さんきゅー、天黎」
「はいはい。星ならみんな好きかなって思ってたんだけど」
「結構好み」
「ならよかった」
天黎は少しほっとしたような表情で笑う。もしかしたら一条くんにあげたくて、ストップの声を上げたのかもしれない。そんな天黎の前には、私が選んだプレゼントがある。
私が選んだのは、シンプルなシャーペンと、ガラス製の置物だ。空色のウサギと桃色のウサギが背中合わせて座っている、ただそれだけのものだ。誰に行くかわからなかったから、無難なものを選んだ。
「灯鞠、めっちゃ可愛い。ありがとう」
「えへへ、喜んでもらえてよかった」
私は涼風くんからもらったハンカチを握りしめながら、ゴンドラの窓から外を見た。
「わあ……」
遠くに見える海を、月がぼんやりと照らす。その手前にある町は、家から洩れる灯りで煌めいていて。反対側に視線を投げれば、明るい遊園地が見える。ライトアップされている丘もよく見える。クリスマスだからと設置されているツリーの周りに、多くの人が集まっている。
「綺麗だね」
「ほんと」
一条くんと天黎も、そろって町のほうを眺める。二人とも、穏やかな微笑みを浮かべていた。ふと、前に座る涼風くんが、私の足をちょんちょん、とつついた。私が涼風くんのほうを見ると、彼は微笑む。
「冬に来れて、よかったね」
その言葉で、思い出した。あの夏の日、遊園地に来て。私は、願った。また来たいねって。私はふふっとほほ笑んだ。
「うん」
私の中で、気持ちが固まる。
やっぱり私……涼風くんのこと、好き。



