夜風の中で、君に伝えたいこと。

 十二月二十五日。クリスマスの日。おとといの二十三日から冬休みに入った私たちは、クリスマスパーティーをするために、まずはカラオケに来ていた。
 私たちはあの後も打ち合わせを重ね、午前中と午後少しでカラオケをして、夕方遊園地のライトアップを観に行く、というスケジュールを立てた。前回遊園地でだいぶアトラクションを回ったので、もうみんなあまり回りたいアトラクションもなく、ただライトアップを見るだけではつまらないので、混んでいるとは思うけどみんなで観覧車に乗るために行こう、となったのだ。
 ちなみに、あの遊園地の入園料は意外と安い。リーズナブルな値段設定にして、何回も来てもらうリピーターを増やそうという考えらしい。
「ふぃー、疲れた疲れた。おい、透海も何か歌ったらどうだ?」
「僕はあんまり歌えるの無いから、大丈夫だよ」
 主に一条くんが歌って、涼風くんが聞いて、天黎と私がちょくちょくいれる、という形でカラオケを楽しんでいた。私も歌うのは好きだけどあまりぐいぐい行けず、天黎に促される形で入れていた。
「灯鞠もほらほら」
「天黎は?」
「私は大丈夫。灯鞠の歌声、かわいいから聞きたいな」
 天黎はさらっと流すと、検索機器を差し出してくる。私は受け取ると、迷った末に色々入れてみる。クリスマスソングと、好きなアニメソング。二、三曲入れると、私は天黎に手渡す。一条くんの歌のイントロが始まる。
「天黎も」
「えー……まあ、いいけど」
 一条くんの熱唱が響き渡る中、天黎は検索機器とにらめっこをする。涼風くんは手をたたき、私はタンバリンでリズムに合わせて楽しむ。

「うたったー! あー、喉いてぇ」
「そりゃあ、あんなにバンバン歌ってたら喉痛くなるって。ちゃんと飲み物飲んだ?」
「飲んでるって……」
 カラオケを出て、一条くんはグーっと伸びをしながらぼやく。天黎がため息をつきながら、自分のバッグを探った。そして、飴をいくつか取り出して、一条くんに手渡す。
「のど飴」
「お、さんきゅ!」
 一条くんはさっそく飴を口の中に放り込む。天黎はまたバッグを探ると、私と涼風くんにも一つずつくれた。今度はのど飴じゃなくて、普通の飴だ。涼風くんは首をかしげる。
「いいの、僕ももらっちゃって?」
「いいのいいの。さ、遊園地に行くためにバス停に行くよ」
 天黎はそう皆を促す。私たちは歩きながら、遊園地に着いたらどうするかを話し合った。遊園地は混んでいるだろうけど、夕方だから、さすがにライトアップを楽しむには明るすぎる。ナイトショーを見るにも時間は早く、クリスマスだから多くのアトラクションが混んでいるだろう。
「あそこの遊園地、ゲーセンみたいなエリアなかったか? そこで時間つぶして……」
 一条くんの提案に、私はスマホで調べてみる。ゲームセンターっていう名前ではなかったけれど、ゲームセンターにあるようなゲーム機はいくつかあるようだ。私はうなずきながら、あれの存在を思い出す。
「「ねえ」」
 意外なことに、涼風くんと声が被った。思わず顔を見合わせると、二人とも視線がお互いのバッグに行った。そこで、二人とも同じものを気にしているのだとわかった。目で合図して、呼吸を合わせる。
「「プレゼント交換は?」」
「「あ~。確かに」」
 今度は天黎と一条くんがハモった。私たちはだれからともなくぷっと噴き出して、笑い始めた。
「じゃあ、ゲーセンで時間つぶしてからプレゼント交換して、観覧車で締めようぜ」
「「「賛成」」」
 笑いが収まると、一条くんがみんなの意見をまとめるように言った。私たちはみんなで賛成する。バス停が近づく。