季節が動き、十二月。もうみんなすっかり冬服で、暖房が聞いたあったかい教室で極力過ごすようになったころ。
「夜見さん、月守さん。今日も一緒にお昼、いいかな?」
「うん。一条くんは?」
「多分来ると思うよ」
「わかった。天黎、だって」
「りょーかい。涼風、部室でいいよね?」
「うん、大丈夫。いつもお邪魔しちゃってごめんね」
「気にしないで。お昼はあまり人、来ないし」
週に二、三回ほどは、いつもの四人でお昼を食べるくらいに、私たちの日常は戻りつつあった。主に私のところに涼風くんが来て、いつも涼風くんと一緒にいる一条くんもついてくる、というパターンが多かった。たまに、一条くんが先に来ることもあるけれど。
教室の外に出ると、一条くんが待っていた。
「今日も一緒に食べるのか?」
一条くんの問いに、涼風くんが頷く。一条くんはうなずき返すと、涼風くんの隣に並んだ。私と天黎を先頭に、四人の隊列で動く。
「ねえ、灯鞠。そろそろクリスマス近づいてきたし、なんかする?」
「するって、部活?」
「部活もそうだけど……」
ちら、と天黎が後ろに視線をやった。私も少し視線を流す。涼風くんと一条くんはいつも私たちがあまりわからない話題で会話している。今日はどうやらスポーツアニメのことを話しているらしい。
「……確かに、やってみたいね」
「でしょ?」
私たちはこそこそ話をしながら、ふふっと笑いあう。私……も、天黎も、今ではちゃんと恋心を自覚していた。私は、涼風くんへ。天黎は……一条くんへ。
私たちはまだ告白をしたいと思うほど、その思いが強くなかった。いや……私は、あの日、一緒にいたいと言ったから、遠回しの告白にはなってしまっているのかもしれないけれど。でも今は、まだ友達のままでいたいのだ。
「部室に着いたら話してみる? クリスマスパーティーとかやりたくない?」
「わあ、いいね! やりたい!」
「何の話?」
パーティー、という言葉に思わず少し大きめの声を出してしまったら、一条くんが聞きつけてしまった。私たちは顔を見合わせた後、天黎がくるっと後ろを向いて、にっこりと笑って、人差し指を口元にあてる。
「内緒ー!」
「えっ、おいおいめっちゃ気になるじゃん……」
「ふふ、部室に着いたら教えてあげる」
天黎はくすくすと笑って、前を向いた。なんだアイツ、と一条くんが後ろでぼやいている。天黎は最近、こうして一条くんとの絡みを楽しむようになった。今では、最初のツンとした態度も好意の裏返しだったのかな、と思い始めている。
「天黎、態度に出てるよ」
「えー、灯鞠もそうでしょ」
またくすくすと笑いあう。こうして笑いあえるようになったのは、ちゃんと涼風くんと衝突できたからだ。本当に、皆には感謝しかない。そう思っていると部室に着いたので、扉を開ける。予想通り、そこには誰もいない。
「んー、今日はふかふか座布団の気分」
そう言いながら、天黎は部屋の隅っこに歩いていく。私は私の家から持ってきた座布団のほうが落ち着くので、その上に座る。
「私はいつもの座布団。二人は?」
「俺たちも座布団で」
一条くんが答える。天黎ははーい、と返事をした後、三枚の座布団を持ち上げようとする。私はその様子を見て、少し腰を上げる。座布団は実はかなり重くて、三枚も一度には持てないのだ。私が立ち上がりきるより早く、一条くんが天黎のもとにすたすたと歩いて行って、上の二枚をサッと取った。天黎がぽかん、と見つめると、にやっと一条くんが笑う。
「良いとこ見せようとすんなって。まじめにケガするぞ」
「ちがうよ! せっかくだし持って行ってあげようと思っただけ」
一条くんのからかうような言葉に、天黎は改めて一枚の座布団を持ち上げながら反論した。そして、一条くんにお礼を言う。
「ありがと、光海」
「おう、気にすんな」
そのまま一条くんは歩き去ってしまったが、天黎はどことなくうれしそうだ。恋してるっていうことをお互いに話し合ったのは、涼風くんと和解した日の次の日だ。私がもしかしたら涼風くんのことが好きかも、と告白したら、天黎が私光海のことが好きなんだって逆告白してくれたのだ。そのあとは二人できゃあきゃあ言い合ってしまって、もうその日からずっと好意が隠し切れない。でも、一条くんと涼風くんには気づかれてないようなのでよかったけれど。
「で、さっきなんか話してたのは何?」
座布団を敷いて、お弁当を開きながら、一条くんがそう尋ねた。すると天黎が半眼になって、あのねぇ、と言った。
「そういうのはお昼休みの中盤くらいから話すのが定石ってもんでしょ」
「えぇ? 早めに話して長く楽しんだほうがいいだろ」
「まあまあ」
言い合いを始めた天黎と一条くんの間に入って、涼風くんは二人をいさめた。頬を膨らませながら、天黎はお弁当をつつき始める。一条くんが納得していないと言いたげに私を見つめてくるので、私は苦笑しながら教えることにした。
「クリスマスパーティーしたいねって話してたの」
すると、一条くんがぱあっと顔を輝かせた。まるで大好きなおもちゃを見つけた、子供のように。
「やりたい! やろうぜ、な、透海!」
一条くんが涼風くんを振り返った。涼風くんの瞳にも、きらきらと輝く光が宿っている。わくわくしてるんだな、というのが分かった。
「うん、僕もやってみたい。そういうの、やったこと無くて」
やったこと無い。お母さんとお父さんが厳しいっていう話をしていたから、本当にこういうことはしたことがなかったのかもしれない。ふと、直莉ちゃんの輝く笑顔と、月透さんの穏やかな微笑みを思い出す。二人も誘えないかな。そう思っていると、
「やったこと無いって、家族でもないの?」
天黎が私の考えをトレースしたかのようにそう問いかけた。驚いて天黎を見ると、純粋に不思議そうだ。ああ、そうか。天黎はまだ詳しいことを知らないからか。一応涼風くんから兄と妹がいるっていう話は聞いているけど、具体的な家庭環境を明かしてくれたのは私にのみだ。涼風くんはうなずく。
「うちの両親ってあんまりそういうのやりたがらないんだ。だから、僕も、兄貴も、妹も、そういうのはやったことがないよ。……ああ、いや、妹は案外友達は多いから、やってるかもしれないね」
へぇ、と一条くんが初めて聞いた、というような表情で頷いた。天黎は何かを考えるようにどこか遠くを見ながら、お弁当をつつく。私は卵焼きを口に入れながら、涼風くんに提案するかどうか考えた。でも、今回はこの四人でやるために天黎が提案したんだ。だから、二人を招待するのは、また別の機会でもいいだろう。
「やるとしたら、涼風くん、できるの?」
「えっと……うん。両親はいないはずだよ。兄貴のクリスマスコンサートがあるからね」
「へえ、そんなのもやるんだ……いつかお兄さんのコンサート観に行ってみたいな」
天黎が目を輝かせながら言うと、機会があればね、と苦笑しながら涼風くんは答えた。天黎はそういう芸術関連のイベントが好きだ。美術館で催し物があれば行ってみない? とよく誘われる。
「私も聞いてみたいな、月透さんの演奏」
「え? 灯鞠ちゃん、透海の兄貴と面識あんの?」
私がぽろっと漏らした呟きに、一条くんが耳ざとく反応した。そうだ、二人は月透さんの名前を知らないんだった。私が涼風くんを困ったように見ると、苦笑を浮かべたまま、涼風くんはうなずく。私は不思議そうにしている一条くんと天黎に説明した。
「えっと……ちょっと前に初めて会って、そこからなんだか二人に懐かれたというか……」
「少なくとも、直莉……妹は、夜見さんに懐いてるね」
すると、むむっ、と一条くんがわざとらしく眉をひそめた。そして、私の視界の端に、天黎がにやっと口の端を上げたのが見えた。
「俺は透海の相棒なのに、それより早く灯鞠ちゃんが会うなんてずるい! 透海、俺にも紹介しろ!」
「私も知りたいなー、なんて」
「天黎も便乗すんなよ!」
「えー、別にいいじゃん。直莉ちゃん、灯鞠に懐いてるんでしょ? なら親友の私が紹介してもらってもいいよね?」
「っ、そうだけどそうじゃなくて!」
二人の歯切れのいい会話に、私と涼風くんはくすくすと笑う。そして、天黎を睨んでいる一条くんと、にやにやしながら一条くんを見ている天黎の間に入り、まあまあとなだめた。
「ちゃんと二人にも紹介するよ。ただ……クリスマスの後にはなっちゃいそうだけどね」
一条くんはおっ、と目を輝かせて、ドンと胸をたたいた。
「全然いいぜ! 何なら天黎より先に紹介しろ!」
天黎より先に、という言葉に天黎が再び反応し、にやにや笑いをさらに深める。
「へぇ、光海、そこまでしてマウント取りたいんだ~?」
「ち、ちげぇよ!」
天黎の反論に、一条くんは反射的に突っかかる。ここまでコントのようなものを見させられると、早く付き合っちゃえよ、と思う。こんなに仲がいいんだから、障壁になるものはないはずだし。それに……一条くんの天黎に対する呼び方が、月守から天黎に変わっている。何かしら二人の間に合ったんだろう。
「で、結局クリスマスパーティー、やるの?」
「やる!」
天黎の問いに、一条くんが食いつく。天黎はあきれたように肩をすくめる。
「ほんとに昔から、光海はこういうパーティー系好きだよね」
「いいじゃん! 楽しいし、ゲームできるし、おやつ食べれるし!」
「ただのゲーム好きで食いしん坊の人じゃない」
天黎のぼそっとした呟きに、私は大笑いしてしまった。涼風くんも笑いをこらえるように口を抑えて、肩を震わせている。一条くんは目を瞬かせたが、やがてうんっ、とかってに頷いた。
「よし! 残りの時間で日程決めるぞー!」
「「「おー」」」
天黎は仕方がなさそうに笑いながら、私と涼風くんは必死に笑いをこらえながら、三者三様に返事をした。
「夜見さん、月守さん。今日も一緒にお昼、いいかな?」
「うん。一条くんは?」
「多分来ると思うよ」
「わかった。天黎、だって」
「りょーかい。涼風、部室でいいよね?」
「うん、大丈夫。いつもお邪魔しちゃってごめんね」
「気にしないで。お昼はあまり人、来ないし」
週に二、三回ほどは、いつもの四人でお昼を食べるくらいに、私たちの日常は戻りつつあった。主に私のところに涼風くんが来て、いつも涼風くんと一緒にいる一条くんもついてくる、というパターンが多かった。たまに、一条くんが先に来ることもあるけれど。
教室の外に出ると、一条くんが待っていた。
「今日も一緒に食べるのか?」
一条くんの問いに、涼風くんが頷く。一条くんはうなずき返すと、涼風くんの隣に並んだ。私と天黎を先頭に、四人の隊列で動く。
「ねえ、灯鞠。そろそろクリスマス近づいてきたし、なんかする?」
「するって、部活?」
「部活もそうだけど……」
ちら、と天黎が後ろに視線をやった。私も少し視線を流す。涼風くんと一条くんはいつも私たちがあまりわからない話題で会話している。今日はどうやらスポーツアニメのことを話しているらしい。
「……確かに、やってみたいね」
「でしょ?」
私たちはこそこそ話をしながら、ふふっと笑いあう。私……も、天黎も、今ではちゃんと恋心を自覚していた。私は、涼風くんへ。天黎は……一条くんへ。
私たちはまだ告白をしたいと思うほど、その思いが強くなかった。いや……私は、あの日、一緒にいたいと言ったから、遠回しの告白にはなってしまっているのかもしれないけれど。でも今は、まだ友達のままでいたいのだ。
「部室に着いたら話してみる? クリスマスパーティーとかやりたくない?」
「わあ、いいね! やりたい!」
「何の話?」
パーティー、という言葉に思わず少し大きめの声を出してしまったら、一条くんが聞きつけてしまった。私たちは顔を見合わせた後、天黎がくるっと後ろを向いて、にっこりと笑って、人差し指を口元にあてる。
「内緒ー!」
「えっ、おいおいめっちゃ気になるじゃん……」
「ふふ、部室に着いたら教えてあげる」
天黎はくすくすと笑って、前を向いた。なんだアイツ、と一条くんが後ろでぼやいている。天黎は最近、こうして一条くんとの絡みを楽しむようになった。今では、最初のツンとした態度も好意の裏返しだったのかな、と思い始めている。
「天黎、態度に出てるよ」
「えー、灯鞠もそうでしょ」
またくすくすと笑いあう。こうして笑いあえるようになったのは、ちゃんと涼風くんと衝突できたからだ。本当に、皆には感謝しかない。そう思っていると部室に着いたので、扉を開ける。予想通り、そこには誰もいない。
「んー、今日はふかふか座布団の気分」
そう言いながら、天黎は部屋の隅っこに歩いていく。私は私の家から持ってきた座布団のほうが落ち着くので、その上に座る。
「私はいつもの座布団。二人は?」
「俺たちも座布団で」
一条くんが答える。天黎ははーい、と返事をした後、三枚の座布団を持ち上げようとする。私はその様子を見て、少し腰を上げる。座布団は実はかなり重くて、三枚も一度には持てないのだ。私が立ち上がりきるより早く、一条くんが天黎のもとにすたすたと歩いて行って、上の二枚をサッと取った。天黎がぽかん、と見つめると、にやっと一条くんが笑う。
「良いとこ見せようとすんなって。まじめにケガするぞ」
「ちがうよ! せっかくだし持って行ってあげようと思っただけ」
一条くんのからかうような言葉に、天黎は改めて一枚の座布団を持ち上げながら反論した。そして、一条くんにお礼を言う。
「ありがと、光海」
「おう、気にすんな」
そのまま一条くんは歩き去ってしまったが、天黎はどことなくうれしそうだ。恋してるっていうことをお互いに話し合ったのは、涼風くんと和解した日の次の日だ。私がもしかしたら涼風くんのことが好きかも、と告白したら、天黎が私光海のことが好きなんだって逆告白してくれたのだ。そのあとは二人できゃあきゃあ言い合ってしまって、もうその日からずっと好意が隠し切れない。でも、一条くんと涼風くんには気づかれてないようなのでよかったけれど。
「で、さっきなんか話してたのは何?」
座布団を敷いて、お弁当を開きながら、一条くんがそう尋ねた。すると天黎が半眼になって、あのねぇ、と言った。
「そういうのはお昼休みの中盤くらいから話すのが定石ってもんでしょ」
「えぇ? 早めに話して長く楽しんだほうがいいだろ」
「まあまあ」
言い合いを始めた天黎と一条くんの間に入って、涼風くんは二人をいさめた。頬を膨らませながら、天黎はお弁当をつつき始める。一条くんが納得していないと言いたげに私を見つめてくるので、私は苦笑しながら教えることにした。
「クリスマスパーティーしたいねって話してたの」
すると、一条くんがぱあっと顔を輝かせた。まるで大好きなおもちゃを見つけた、子供のように。
「やりたい! やろうぜ、な、透海!」
一条くんが涼風くんを振り返った。涼風くんの瞳にも、きらきらと輝く光が宿っている。わくわくしてるんだな、というのが分かった。
「うん、僕もやってみたい。そういうの、やったこと無くて」
やったこと無い。お母さんとお父さんが厳しいっていう話をしていたから、本当にこういうことはしたことがなかったのかもしれない。ふと、直莉ちゃんの輝く笑顔と、月透さんの穏やかな微笑みを思い出す。二人も誘えないかな。そう思っていると、
「やったこと無いって、家族でもないの?」
天黎が私の考えをトレースしたかのようにそう問いかけた。驚いて天黎を見ると、純粋に不思議そうだ。ああ、そうか。天黎はまだ詳しいことを知らないからか。一応涼風くんから兄と妹がいるっていう話は聞いているけど、具体的な家庭環境を明かしてくれたのは私にのみだ。涼風くんはうなずく。
「うちの両親ってあんまりそういうのやりたがらないんだ。だから、僕も、兄貴も、妹も、そういうのはやったことがないよ。……ああ、いや、妹は案外友達は多いから、やってるかもしれないね」
へぇ、と一条くんが初めて聞いた、というような表情で頷いた。天黎は何かを考えるようにどこか遠くを見ながら、お弁当をつつく。私は卵焼きを口に入れながら、涼風くんに提案するかどうか考えた。でも、今回はこの四人でやるために天黎が提案したんだ。だから、二人を招待するのは、また別の機会でもいいだろう。
「やるとしたら、涼風くん、できるの?」
「えっと……うん。両親はいないはずだよ。兄貴のクリスマスコンサートがあるからね」
「へえ、そんなのもやるんだ……いつかお兄さんのコンサート観に行ってみたいな」
天黎が目を輝かせながら言うと、機会があればね、と苦笑しながら涼風くんは答えた。天黎はそういう芸術関連のイベントが好きだ。美術館で催し物があれば行ってみない? とよく誘われる。
「私も聞いてみたいな、月透さんの演奏」
「え? 灯鞠ちゃん、透海の兄貴と面識あんの?」
私がぽろっと漏らした呟きに、一条くんが耳ざとく反応した。そうだ、二人は月透さんの名前を知らないんだった。私が涼風くんを困ったように見ると、苦笑を浮かべたまま、涼風くんはうなずく。私は不思議そうにしている一条くんと天黎に説明した。
「えっと……ちょっと前に初めて会って、そこからなんだか二人に懐かれたというか……」
「少なくとも、直莉……妹は、夜見さんに懐いてるね」
すると、むむっ、と一条くんがわざとらしく眉をひそめた。そして、私の視界の端に、天黎がにやっと口の端を上げたのが見えた。
「俺は透海の相棒なのに、それより早く灯鞠ちゃんが会うなんてずるい! 透海、俺にも紹介しろ!」
「私も知りたいなー、なんて」
「天黎も便乗すんなよ!」
「えー、別にいいじゃん。直莉ちゃん、灯鞠に懐いてるんでしょ? なら親友の私が紹介してもらってもいいよね?」
「っ、そうだけどそうじゃなくて!」
二人の歯切れのいい会話に、私と涼風くんはくすくすと笑う。そして、天黎を睨んでいる一条くんと、にやにやしながら一条くんを見ている天黎の間に入り、まあまあとなだめた。
「ちゃんと二人にも紹介するよ。ただ……クリスマスの後にはなっちゃいそうだけどね」
一条くんはおっ、と目を輝かせて、ドンと胸をたたいた。
「全然いいぜ! 何なら天黎より先に紹介しろ!」
天黎より先に、という言葉に天黎が再び反応し、にやにや笑いをさらに深める。
「へぇ、光海、そこまでしてマウント取りたいんだ~?」
「ち、ちげぇよ!」
天黎の反論に、一条くんは反射的に突っかかる。ここまでコントのようなものを見させられると、早く付き合っちゃえよ、と思う。こんなに仲がいいんだから、障壁になるものはないはずだし。それに……一条くんの天黎に対する呼び方が、月守から天黎に変わっている。何かしら二人の間に合ったんだろう。
「で、結局クリスマスパーティー、やるの?」
「やる!」
天黎の問いに、一条くんが食いつく。天黎はあきれたように肩をすくめる。
「ほんとに昔から、光海はこういうパーティー系好きだよね」
「いいじゃん! 楽しいし、ゲームできるし、おやつ食べれるし!」
「ただのゲーム好きで食いしん坊の人じゃない」
天黎のぼそっとした呟きに、私は大笑いしてしまった。涼風くんも笑いをこらえるように口を抑えて、肩を震わせている。一条くんは目を瞬かせたが、やがてうんっ、とかってに頷いた。
「よし! 残りの時間で日程決めるぞー!」
「「「おー」」」
天黎は仕方がなさそうに笑いながら、私と涼風くんは必死に笑いをこらえながら、三者三様に返事をした。



