「おかえりなさいませ」
出口から出ると、まだそこは敷地の中。入口の門とは違う、裏門みたいなところに出ていた。そこではまた、二人のキャストさんが門番のように立っていた。私たちが出てくることに気が付くと、キャストさんは足元に置いていたボックスを持って、こちらへやってきた。
「ライトと端末を返却していただけますか?」
私たちがライトを手渡し、天黎が端末も渡すと、キャストさんは微笑んだ。
「ゴール、おめでとうございます」
祝福の言葉に、私たちはにっこりと笑って、「はい!」と言ったら、キャストさんは嬉しそうに目を細めた。もう一人のキャストさんが、何かを持ってこちらにやってきた。
「これを、記念品にどうぞ」
手渡されたのは、先ほど私たちが部屋の奥で見た、公爵の死の間際のイラストだ。ちゃんとアルファベットもある。私たちがそれをじっと眺めていると、ボックスを持ったキャストさんが門のほうへ歩いて行ってしまった。もう一人のキャストさんは、私たちの様子を見て、ほほえんだ。そして、衝撃的な事実を告げた。
「実は、この脱出ゲームに正解はないのです」
私は最初それを聞き逃していたが、天黎が「はい?」と言ったのをきっかけに、イラストから顔を上げて、キャストさんをみた。キャストさんは繰り返す。
「このゲームに、正解はありません。お客様が、公爵の物語を作るのです。最期に入った部屋……あそこには、選択した答えが描かれます。最終問題のイラストは、AIがお客様が描かれた物語を分析し、イラストにしています。じつは、脱出ゲームでもあり、公爵の人生を描く、人生ゲームだったのです」
私たちは物も言えなかった。あんなに考えたのに、どれでも正解だなんて。でも、とキャストさんは悲しそうに目を伏せた。
「それ故に、リザインする人も多いのです。こうしてゴールされる方は、一握りしかいません」
最初から衝撃的な選択肢があったし、最終問題は記述式だ。みんな脱出ゲームには正解があると思うから、深く考えてしまう。そうすると、答えがわからなかったらリザイン、という方法を取ってしまうだろう。
「それにお客様は、素晴らしい公爵の最後を描いてくれました。本当に、ありがとうございます」
キャストさんに頭を下げられて、私はあわてて首を振った。そんな大したことはしていない。私はただ……最悪の結末を思いついてしまったから、それを回避できるような長い文章を書いただけなのだ。でも……こうして喜んでもらえるのは、少しうれしい。
「やったじゃん、灯鞠! 同じ文芸部員として鼻が高いよ!」
天黎が抱き着きながらそう褒めてくれて、私はへへ、と笑った。後ろで涼風くんと一条くんも、嬉しそうに、微笑んでいた。
出口から出ると、まだそこは敷地の中。入口の門とは違う、裏門みたいなところに出ていた。そこではまた、二人のキャストさんが門番のように立っていた。私たちが出てくることに気が付くと、キャストさんは足元に置いていたボックスを持って、こちらへやってきた。
「ライトと端末を返却していただけますか?」
私たちがライトを手渡し、天黎が端末も渡すと、キャストさんは微笑んだ。
「ゴール、おめでとうございます」
祝福の言葉に、私たちはにっこりと笑って、「はい!」と言ったら、キャストさんは嬉しそうに目を細めた。もう一人のキャストさんが、何かを持ってこちらにやってきた。
「これを、記念品にどうぞ」
手渡されたのは、先ほど私たちが部屋の奥で見た、公爵の死の間際のイラストだ。ちゃんとアルファベットもある。私たちがそれをじっと眺めていると、ボックスを持ったキャストさんが門のほうへ歩いて行ってしまった。もう一人のキャストさんは、私たちの様子を見て、ほほえんだ。そして、衝撃的な事実を告げた。
「実は、この脱出ゲームに正解はないのです」
私は最初それを聞き逃していたが、天黎が「はい?」と言ったのをきっかけに、イラストから顔を上げて、キャストさんをみた。キャストさんは繰り返す。
「このゲームに、正解はありません。お客様が、公爵の物語を作るのです。最期に入った部屋……あそこには、選択した答えが描かれます。最終問題のイラストは、AIがお客様が描かれた物語を分析し、イラストにしています。じつは、脱出ゲームでもあり、公爵の人生を描く、人生ゲームだったのです」
私たちは物も言えなかった。あんなに考えたのに、どれでも正解だなんて。でも、とキャストさんは悲しそうに目を伏せた。
「それ故に、リザインする人も多いのです。こうしてゴールされる方は、一握りしかいません」
最初から衝撃的な選択肢があったし、最終問題は記述式だ。みんな脱出ゲームには正解があると思うから、深く考えてしまう。そうすると、答えがわからなかったらリザイン、という方法を取ってしまうだろう。
「それにお客様は、素晴らしい公爵の最後を描いてくれました。本当に、ありがとうございます」
キャストさんに頭を下げられて、私はあわてて首を振った。そんな大したことはしていない。私はただ……最悪の結末を思いついてしまったから、それを回避できるような長い文章を書いただけなのだ。でも……こうして喜んでもらえるのは、少しうれしい。
「やったじゃん、灯鞠! 同じ文芸部員として鼻が高いよ!」
天黎が抱き着きながらそう褒めてくれて、私はへへ、と笑った。後ろで涼風くんと一条くんも、嬉しそうに、微笑んでいた。



