開演直後に遊園地内に入り、私たちは多くのアトラクションを回った。ジェットコースター、シューティングライド、ボートライドという人気で体が揺さぶられる乗り物たちを朝のうちに回ると、ここの遊園地のシンボルであるタワーの近くにあるおしゃれなカフェに入ってご飯を食べた。
そして午後。メリーゴーランドや謎解き迷路を回って、遊園地のイメージキャラクターたちが出演するショーを見たあと、少し休憩することになった。テーブル付きの席が四つ空いていたので、そこにみんなで座る。
「疲れたー。ねえ、次どこ行く?」
天黎にそう尋ねられて、私はパンフレットを開いて、テーブルの上に置いた。そこに書いてある園内地図と、アトラクション一覧を見ながら、どこを回るか考える。私は三人の顔を順番に見る。
「みんなはもう行きたいところはないの?」
「俺は朝のうちに全部かなえてもらったから、もうほとんどないな。強いて言えば……観覧車とお化け屋敷だな! ああ、脱出ゲームもいいな……」
「もう、ほとんどないって言ってたくせに、たくさんあるじゃない」
一条くんの発言に天黎が突っ込んだので、私は笑いながら、そうだよね、と相槌を打つ。
「遊園地っていっぱいアトラクションあるから、乗りたいのたくさんあるもんね。うーん、どこがいいんだろう? 私はどこでもいいんだけど……」
すると、天黎もうーん、とうなりながら涼風くんを見た。天黎の視線に気が付いた涼風くんは、地図を見るのをやめて顔を上げる。
「どうしたの、月守さん?」
「いやー、涼風、何にも言って無くない? 私と灯鞠は午後回らせてもらったけど、涼風は一度もここに行きたいとか、言ってないなー、って思って。せっかくだし、涼風の生きたいとこ行かない?」
天黎の発言に、私は今日回ったアトラクションをもう一回思い返す。ジェットコースター、シューティングライド、ボートライドは一条くん。メリーゴーランドは私と天黎。謎解き迷路は天黎で、ショーは私が行きたいと言ったものだ。カフェに入りたいといったのも天黎だし、涼風くんは今日何にもしたいことを言っていない。
「そうだぜ、せっかくこんな綺麗な場所に来てるんだからさ、透海ももっと楽しもうぜ!」
「楽しんでるよ」
涼風くんは即答し、笑ってるけど、その笑顔はあまり楽しそうじゃない。ショーに行きたいといったのも、実は涼風くんが笑ってくれるかなと思ったからだけれど、なかなか笑ってくれない。いや、表面上は笑ってるんだけど、本当に笑っていないというか……なんか、そんな感じがする。
「遊園地、あんまり来たことなかったりする?」
ふと気になって、私は涼風くんにそう聞いた。中学の頃にも、遊園地とかには全然言ったことがないっていう友達がいたのを思い出したからだ。もし来たことがないなら、行きたい場所もないのかもしれない。
「……夜見さんは本当に鋭いね。そうだね、僕は殆ど来たことがない。前に来たのは……ああ、兄貴が賞を取ったときの賞金で、兄弟で来た時だな」
思い出そうとしているのか、空中を睨みながら話す涼風くんに、へえ、と天黎が声を上げて、テーブルの上に頬杖を突く。意外そうに眉を上げながら、涼風くんを見上げた。
「涼風、お兄さんいたんだ?」
「俺も初耳だな」
一条くんもそう相槌を打つ。涼風くんは首を傾げた後、ああ、と声を上げた。
「光海にもあんまり話してなかったな。僕には、兄貴と妹がいるんだ。でも、来たのはその一回だけだし、あの時は妹と兄貴の回りたいところを優先したから……それに、あんまり覚えてないんだ、結構子供の時だったから」
困ったね、と苦笑する涼風くんの表情の翳りが、先ほどより濃くなった。それで察する。涼風くんが苦しそうにしているのには、もしかしたらお兄さんと妹さんがかかわっているのかもしれない、と。天黎は、私を見てこくりと頷いた。一条くんもこちらにちらりと視線を寄こした。聡い天黎と、涼風くんをよく知る一条くんのことだから、私と同じ結論を思いついたのだろう。
「……脱出ゲーム、やってみよう。私考えるの苦手だから、天黎に謎解きお願いすることになっちゃうけど」
私は涼風くんが少しでも楽しめそうなものを一条くんがリクエストした中から選んでみた。観覧車は一日の最後の締めって決まってるし、お化け屋敷はただ怖いだけ。なら、脱出ゲームならどうだろうと、考えたのだ。脱出ゲームなら四人で楽しめる。私が事前にあまり考えないことを宣言しておけば、涼風くんも考えてくれる気になるだろう。考えることになっていれば、もっとのめりこめると思う。
「お、いいじゃん。俺も頭あんまりよくねえから、透海に任すわ」
一条くんが同じことを考えたのか、涼風くんに丸投げした。えっ、と驚く涼風くんに、今度は天黎が微笑みかける。
「私は灯鞠の考え、いいと思う。涼風はどう?」
涼風くんはすこしかんがえたあと、頷いた。
「でも、夜見さんと光海も、考えるの手伝ってくれない? 月守さんと僕だけじゃ、ちょっと厳しいかもしれない」
「もちろん!」「任せろ!」
私と一条くんは涼風くんの言葉に即答した。すると、天黎と顔を見合わせた涼風くんが、くっ、と少し笑ってくれた。
そして午後。メリーゴーランドや謎解き迷路を回って、遊園地のイメージキャラクターたちが出演するショーを見たあと、少し休憩することになった。テーブル付きの席が四つ空いていたので、そこにみんなで座る。
「疲れたー。ねえ、次どこ行く?」
天黎にそう尋ねられて、私はパンフレットを開いて、テーブルの上に置いた。そこに書いてある園内地図と、アトラクション一覧を見ながら、どこを回るか考える。私は三人の顔を順番に見る。
「みんなはもう行きたいところはないの?」
「俺は朝のうちに全部かなえてもらったから、もうほとんどないな。強いて言えば……観覧車とお化け屋敷だな! ああ、脱出ゲームもいいな……」
「もう、ほとんどないって言ってたくせに、たくさんあるじゃない」
一条くんの発言に天黎が突っ込んだので、私は笑いながら、そうだよね、と相槌を打つ。
「遊園地っていっぱいアトラクションあるから、乗りたいのたくさんあるもんね。うーん、どこがいいんだろう? 私はどこでもいいんだけど……」
すると、天黎もうーん、とうなりながら涼風くんを見た。天黎の視線に気が付いた涼風くんは、地図を見るのをやめて顔を上げる。
「どうしたの、月守さん?」
「いやー、涼風、何にも言って無くない? 私と灯鞠は午後回らせてもらったけど、涼風は一度もここに行きたいとか、言ってないなー、って思って。せっかくだし、涼風の生きたいとこ行かない?」
天黎の発言に、私は今日回ったアトラクションをもう一回思い返す。ジェットコースター、シューティングライド、ボートライドは一条くん。メリーゴーランドは私と天黎。謎解き迷路は天黎で、ショーは私が行きたいと言ったものだ。カフェに入りたいといったのも天黎だし、涼風くんは今日何にもしたいことを言っていない。
「そうだぜ、せっかくこんな綺麗な場所に来てるんだからさ、透海ももっと楽しもうぜ!」
「楽しんでるよ」
涼風くんは即答し、笑ってるけど、その笑顔はあまり楽しそうじゃない。ショーに行きたいといったのも、実は涼風くんが笑ってくれるかなと思ったからだけれど、なかなか笑ってくれない。いや、表面上は笑ってるんだけど、本当に笑っていないというか……なんか、そんな感じがする。
「遊園地、あんまり来たことなかったりする?」
ふと気になって、私は涼風くんにそう聞いた。中学の頃にも、遊園地とかには全然言ったことがないっていう友達がいたのを思い出したからだ。もし来たことがないなら、行きたい場所もないのかもしれない。
「……夜見さんは本当に鋭いね。そうだね、僕は殆ど来たことがない。前に来たのは……ああ、兄貴が賞を取ったときの賞金で、兄弟で来た時だな」
思い出そうとしているのか、空中を睨みながら話す涼風くんに、へえ、と天黎が声を上げて、テーブルの上に頬杖を突く。意外そうに眉を上げながら、涼風くんを見上げた。
「涼風、お兄さんいたんだ?」
「俺も初耳だな」
一条くんもそう相槌を打つ。涼風くんは首を傾げた後、ああ、と声を上げた。
「光海にもあんまり話してなかったな。僕には、兄貴と妹がいるんだ。でも、来たのはその一回だけだし、あの時は妹と兄貴の回りたいところを優先したから……それに、あんまり覚えてないんだ、結構子供の時だったから」
困ったね、と苦笑する涼風くんの表情の翳りが、先ほどより濃くなった。それで察する。涼風くんが苦しそうにしているのには、もしかしたらお兄さんと妹さんがかかわっているのかもしれない、と。天黎は、私を見てこくりと頷いた。一条くんもこちらにちらりと視線を寄こした。聡い天黎と、涼風くんをよく知る一条くんのことだから、私と同じ結論を思いついたのだろう。
「……脱出ゲーム、やってみよう。私考えるの苦手だから、天黎に謎解きお願いすることになっちゃうけど」
私は涼風くんが少しでも楽しめそうなものを一条くんがリクエストした中から選んでみた。観覧車は一日の最後の締めって決まってるし、お化け屋敷はただ怖いだけ。なら、脱出ゲームならどうだろうと、考えたのだ。脱出ゲームなら四人で楽しめる。私が事前にあまり考えないことを宣言しておけば、涼風くんも考えてくれる気になるだろう。考えることになっていれば、もっとのめりこめると思う。
「お、いいじゃん。俺も頭あんまりよくねえから、透海に任すわ」
一条くんが同じことを考えたのか、涼風くんに丸投げした。えっ、と驚く涼風くんに、今度は天黎が微笑みかける。
「私は灯鞠の考え、いいと思う。涼風はどう?」
涼風くんはすこしかんがえたあと、頷いた。
「でも、夜見さんと光海も、考えるの手伝ってくれない? 月守さんと僕だけじゃ、ちょっと厳しいかもしれない」
「もちろん!」「任せろ!」
私と一条くんは涼風くんの言葉に即答した。すると、天黎と顔を見合わせた涼風くんが、くっ、と少し笑ってくれた。



