「実はこのニュースを新聞で読んで、それで事件を追いかけてみる気になったんです」
ガサガサと新聞紙を広げている音が聞こえてくる。
「これ、あの子の……」

女性が短く息を飲む。
「はい。飯島涼子さんがいなくなった事件です。勝手に調べるのはあれなので、まずはご家族に了承を得ないといけないと思って、ここまで来ました」

雄一のいつになく丁寧な口調が聞こえてくる。
「そうでしたか。あなたたちが調べることで、少しでもあの子が失踪した原因がわかったりするんでしょうか?」

「それは……正直わかりません。僕たちは探偵じゃないし、だけど遊び半分でこういうことをしているわけでもありません。涼子さんのことも本気で探すつもりです」

「そう……。あの子がいなくなってもう5年も経過して、事件は風化してるわ。だけどこうして涼子のことを気にかけてくれる人がいて、本当に嬉しい」
「じゃあ……!」
「えぇ。涼子のことを調べていただいて結構よ」

ため息まじりのその声は、どこか諦めを含んで聞こえる。
「涼子さんについて、少し質問してもいいですか?」

「もちろんよ。よかったら入って? お茶でも出すから」