見知らぬ男がふたりでおしかけてきたのだから、当然の反応だった。
「すみません。僕ら○○大学のものです」
自分の在籍している学校名と学生証を見せると女性は首を傾げた。

大学とここまではかなり離れているし、関係性がなにもない。
不信感が拭えなくても仕方ないことだった。
「あの、それって……」
女性がカメラへ視線を向けた。

「あ、すみません。俺大学製作でドキュメンタリーを撮ってるんです」
説明しながら達也がカメラをおろした。
砂利と達也の靴が画面に映り込む。

「はぁ……それで撮っているんですか?」
「できれば撮影したいんですが、ダメなら音声だけでも」

「じゃあ、音声だけでお願いします」
「わかりました」
「それで、どんなご用件でうちに?」

女性からの質問に少しの沈黙が下りてきた。
そして雄一の咳払いが聞こえてくる。