ふたつともひどく汚れていてあちこちに穴が開いていることが印象的だった。
何気なく写真を裏返してみると、そこには半年前の日付と川に流れていたことが明記されていた。
「おい、この写真ってもしかしてイケニエに関することじゃないか?」

達也が興奮した声で言う。
雄一は写真に視線を落としたまま頷いた。
「そうかもしれない。見ろよ、こっちには名前が書いてある。飯島涼子。これって、この服の持ち主の名前かな?」

「たぶんそうだろう。飯島涼子か、検索してみるから、ちょっとまってろ」
すぐに達也がスマホでその名前を検索した。
すると5年前の記事が出てきたのだ。

「おい、飯島涼子って人は5年前この付近で行方不明になってるぞ!」
達也の声が上ずる。

「間違いなさそうだな。飯島涼子って人は5年前にいまよい村に入った。そして半年前にイケニエになって、殺害された。その時になんらかの事情があって衣類だけが川に流されたんだ」

雄一は早口で言って写真と該当の新聞を乱暴に掴むと大股で歩き出した。
「雄一、今度はどこに行く気だよ!」

「ネットに飯島涼子の家が出てるはずだ。そこへ行って、家人に話を聞いてみる」
資料館から出ると太陽は傾き始めていた。
「夜になると動けなくなる。早くしよう」