だけど、最初に事件が明るみに出ていれば、今回の被害はなかったかもしれない。

「いいと思っとるわけがなかろう! じゃあけど、ワシらがそれを知ったときにはもう手足はどこにもなかったし、何ヶ月も経った後のことじゃった。駐在さんは元々東京のお偉いさんじゃったけん、町の人に相談することなく、動いたんじゃなぁ。それもこれも、ワシらを守ろうとしてのことじゃ」

「その駐在さんは今もいますか?」
怒りで顔を真赤にした雄一を後方へと押さえつけて達也が聞く。

「いんや。そのときの駐在さんは当時手足が発見がされる事件が起こった半年後に死んだ」