「いんや。最初に手紙と一緒に流れてきた手足はもう10年は昔のことじゃ。それから今まで手足は見つかっとらん。だからな、ワシらは村の中でイケニエを処理しとると思っとったんじゃ。最初に川に流したのは、いまよい村の存在を外へ知らせるためだったんかもしれん」

「そ、外に知らせるため?」
達也が聞く。
男性は大きく頷いた。

「そうじゃ。ようは外のもんが入って来んようにけん制したんじゃと思うとる。それで今回手足がまた流れてきたんはなぁ、もう村の中が死体だらけになって、埋める場所がなくなったんじゃあねぇかと思うんじゃ」

男性の説明にふたりがサッと青ざめた。
「最初の手足が見つかったときはニュースになったんですか?」

「あの時は駐在さんがもみ消したんじゃあなかったかなぁ? なんせひどく田舎で起こった事件じゃったけん、大事になったら町の人らぁが安心して暮らしていけれんよぉになるからなぁ」

「もみ消したって……そんなことしていいと思ってるんですか!?」
雄一が掴みかからんばかりに男性に詰め寄り、達也が慌ててそれを止めた。