男性の言葉に達也がスマホを取り出して検索をかけた。
青山村でヒットした中から、この町の名前を発見して雄一へ見せた。
「この町の中にある、青山村。それがあの山の名前だった……。それじゃ、いまよい村っていうのはなんなんだ？」

達也のスマホ画面を見つめて雄一は考え込んでしまった。
青山村は廃村になった。
その後誰も山の中には入らず、道も自然となくなってしまった。

「お前らいまよい村のことまで知ってんのかぁ？」
驚いた表情で男性が質問してきたので、ふたり同時に顔を上げた。
「お、おじさん、いまよい村を知ってるんですか！？」

ついに我慢しきれず、雄一がカウンターに身を乗り出した。
これを逃せばいまよい村の情報を得ることは難しくなる。
ふたりとも必死だった。

「あぁ。いまよい村の歴史は短いけど、なんとなぁくみんなが気がついてることだぁ」
「みんなが気がついてる？　それって、どういう意味ですか？」
理解できずに戻しいのか、雄一の声が上ずった。