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車から下りて森の周辺を歩き始めると、その山は上に上に高くなっていてかなりの標高があることがわかった。
「この山を登ればこの町が一望できるんだろうな」
達也が言う。

「だろうな。でも入り口がどこにもないな」
歩いても歩いても山へ入っていく道が見つからない。

人が管理している山なら、どこかに入り口があってもいいものなのに、獣道すら見つけられない。
「なんか不気味だな。人間を入り込ませないようにしてるみたいだ」

山の頂上付近から何羽ものカラスが飛び立っていく。
「人の手足が発見されたのも、この近くだろ?」
「あぁ。この先の河川敷らしい」

そこまで歩いていくと、河川敷とは名ばかりの大きな川が流れている一体が現れた。
とても川に近づくことはできそうにない、急な下り坂になっていて桜の木が植えられている。
「この辺りか。川は山のから続いてるみたいだな」