パンをかじりながら達也が呟く。
「ここから少し行った先に大きな公園とか、滝や鍾乳洞もある。たぶん、そういう場所へ遊びに来たんじゃないか?」

雄一の言う通り地図の上の方には子供でも遊べそうな場所がある。
この場所で一旦停車したのは鳥居が見えたからだろうか。
おそらく、トミーも美加も施設の4人も、この鳥居をくぐったことで忽然と消えたに違いない。

昨日の夏美のように。
「今日はどうするつもりだ?」
「ここに行ってみようと思う」

雄一が指差したのは町唯一の資料館だった。
「この辺は古墳とかもあって古い歴史があるみたいだから、この鳥居についてもなにかわかるかもしれない」

カメラが車のガラス越しに大きな鳥居を捉えた。
その奥には鬱蒼とした木々が茂っていて、奥は全く見えない。
「資料館が開くのは10時だ。それまで少し辺りを散策してみよう」
「あぁ。それがいいな」