自分の好きなものの話になって、少し緊張がほどけてきたようで時々雄一と視線を交わせて微笑んだ。
「そっか。趣味があるのはいいことだね。動画はなにを見てるの?」
達也の質問に夏美が自分のスマホをテーブルの上に置いた。

画面には動画が流れている。
「トミーチャンネル? なにこれ、知らないなぁ」
「達也は動画製作してるくせに、トミーも知らないのか?」

雄一の呆れた声が画面外から聞こえてくる。
カメラは夏美のスマホ画面を写したままだ。
「トミーチャンネルは最近登録者が急上昇してるホラー系の動画チャンネルなの」

「ホラー? 俺そういうの苦手なんだよなぁ……」
「ふふっ。でもこれは面白いよ? トミーが全国各地の心霊スポットに行って面白おかしく紹介してるの」
「面白おかしくって……そういう場所を笑いものにしてたらいつか絶対に祟られるんだぞ」

「達也ってそういうの気にしてるんだっけ? 本当に顔色悪いじゃん。ほら、カメラで撮ってやるよ」
雄一がカメラに手を伸ばして達也の顔を映し出す。
確かにその顔はすでに青くなっていた。