「ここがいまよい村？」
画面を食い入るように見ていた夏美が言う。
「そうなのかもしれないな。でも簡易的に作られた簡素な村って感じだな。もしかしたらこの山に勝手に住み着いた人たちが勝手に名付けた村なのかも。だから地図に乗ってないし、検索しても出て来なかったんじゃないか？」

雄一が推測を述べながらも好奇心で目を輝かせた。
さすがにトミーのヤラセで村ひとつ準備することはできないだろう。
この動画は本物だと確信したのかもしれない。

広場の中央には大きなビニールシートが敷かれていて、その上にトミーは連れて行かれた。
『あの……これから何をするんですか？』
ビニールシートに座らされたトミーが声を震わせながら質問している。

動画が撮られるまでになにか恐ろしい経験があったのか、その顔はひどく青ざめていた。
『お願いします。僕は有名な動画配信者で、僕がいなくなっていることは沢山の人が知っています。すぐに警察が来ますよ！？』
なにかの危機を感じているのか、トミーがカメラへ向けて叫んだ。