「さて、今日も引きこもりのドキュメンタリーが始まりました!」
カメラが雄一と夏美を撮すが、ふたりとも黙り込んでいる。
「えーっと、ふたりとも何があったんだよ? なんでそんな深刻そうな顔してんの?」

達也が明るい声色で質問すると雄一がカメラへ視線を向けた。
「俺が警察に通報してから一週間が経ったんだ」

「え? あぁ、そうだな。捜査は進展してるんじゃないか? なにせ行方不明者が集結してるんだからさ」
だけど雄一は左右に首を振り、隣の夏美は頭を抱えてしまった。

「なにも進展がないんだ。あれだけ配信されてて、通報だってきっと沢山されてるのに、まだ誰ひとりとして見つかってない」
「そんなことあるか?」
「実際に起きてることだろ」

「で、でも雄一だってあれはヤラセだって言ってたじゃないか」
達也の声が混乱して揺れる。
「最初はそう思ってた。でも……もうそんな風には思えない」