「いいから、早く自己紹介してくれよ。進まないだろ」
促された雄一が大げさにため息を吐き出してカメラを向く。
照れくさそうに頭をかきながら「俺は山崎雄一です。えっと、撮影者の達也とは大学の同級生です」

「はい。それじゃあ雄一、今日は誰を俺に紹介してくれるんだ?」
「俺の幼馴染の三浦夏美です。夏美とは幼稚園に入る前からの付き合いです」
「よっし、いいぞ。それじゃドアをノックして開けてくれ」

「やれやれ。ずっとこの調子でやるのか?」
呆れながらも部屋のドアをノックする雄一。
中から「はい」と、少し緊張した女性の声が返ってきた。
雄一がドアを開けて中に入ると、達也のカメラが女性をドアップにして写した。

不健康なほど色白で透き通った肌。
折れそうに細い体で、唇だけが赤く浮き出て見える。
「こんにちは夏美ちゃん。久しぶりだね」

「お、お久しぶりです」
夏美が緊張して左右に瞳を揺らす。
雄一が夏美の隣に座って、その手を握りしめた。