とある村の怖い話


「いやぁごめんね? まさかカメラを忘れて帰るなんてさ」
達也が苦笑いを浮かべてカメラを拾い上げる。
「ほんと、忘れて行かないでよね」
夏美の呆れ声が後方から入り込んだ。
カメラ画面には達也と雄一が入り込んでいる。
「どうせわざと置いて帰ったんだろ」
小声で聞いてくる雄一の脇腹を達也がつついて止めた。
「夏美ちゃん、これに映ってる映像は一応確認させてもらうけど、いい?」
「……うん。いいよ」
煮え切らない態度の夏美に達也の目が光る。
「なにか、まずいものでも映ってるとか?」
「まぁ……でも大丈夫だよ。取材を受けるっていうのは、そうことだってちゃんとわかってるから」
「そっか、それならよかった。もしかしたらその映像を使わせてもらうかもしれないけど、それでもいい?」
「うん。いいよ」