とある村の怖い話

☆☆☆

朝の拝礼の儀式が終わるのを待ってから、雄一と達也は祠へと向かった。
拝礼のあとはみんなそれぞれの家に戻って行ったので隠れて移動する必要はなかった。

友樹も、拝礼が終わるのと同時に戻っていった。
「これがノート?」
小さな祠の中には青い古ぼけたノートが一冊置かれていた。

絶対に祠から出しちゃいけないと言いながらも、すぐに手が届く位置にある。
この村ではノートを持ち出すような人間はいないんだろう。

「さすがに鍵がかかってるか」
祠の前には木製の柵がつけられていて、ノートはその奥に置かれている。
だけど祠自体も木製でできているから、壊そうと思えば簡単だ。

「この村の人たちが作った祠なんだろうな。本当はもっと頑丈なもので作りたかっただろうに」
雄一は呟くように言ってポケットからライターを取り出した。

「お前、いつからライターなんて持ち歩くようになったんだよ」

達也が驚いていると、雄一は軽く笑って「ただ闇雲に山の中に入ってきたわけじゃない。ちゃんと、準備してきたんだ」と、答えた。
そういえば雄一はスマホの充電器も持って入っていたはずだ。