「なるほどね」
達也は頷く。
どんな子でも秘密の約束とか、秘密の隠れ家といったものは大好きだ。
「友樹、この人の名前は達也だ。友樹のもうひとりの秘密の友だちだ」

「僕のもうひとりの秘密の友達?」
「そうだよ。だから怖がらなくてもいいからね」

友樹は雄一の説明に素直に頷いた。
達也は友樹と握手を交わしてから、視線を祠へと向けた。
「友樹、あの祠の中にはなにがあるか知ってる?」

「知ってるよ。神様のノートが入ってるんだよ」
「神様のノート? 神様じゃなくて?」
達也が聞きかえす。

神様が入っていると言うならまだ納得できるけれど、ノートとはどういうことだろう。

「神様はもう死んだんだよ。だけどノートがあれば、この村は永遠に続いていくことができるんだって。ノートには神様と同じくらいの大きな力があるから」
その言葉にふたりは視線を身かわせた。