達也が気絶している美加へ視線を向ける、
あの夏美が美加のように自分から男を誘っているかもしれないなんて、考えたくもないことだった。
「もちろんそう思ってる。でもダメなんだ」

そう言うと雄一は立ち上がった。
その足にはチェーンがつけられていて、大きな岩につながっている。
「なんだこれ……」
岩には鉄製の杭が打ち込まれていて、チェーンがそこから伸びているのだ。

「ここで何人もの人間が繁殖用に飼われてたんだと思う。村では相手を選ぶことができたけど、ここではそれも許されない」

「ちょっと待てよ。このチェーンを切ることができればどうにかなる」
達也はこぶし大の石を握りしめるとチェーンを他の石の上に置いて、打ち付けた。
チェーンが激しく跳ね上がる。

「そんなんじゃダメだ。俺もためしたけど、ビクともしなかった」
それでも達也は何度も何度も石を打ち付けた。

そのたびにチェーンが跳ねて大きな音を出す。
その音に反応したように、画面の横でなにかが動いた。