「それは……」
と、言いかけて達也は口を閉じた。
ジッとラーメンを見つめて黙り込んだ。

店主の男性もそれ以上はなにも聞かず、カウンター内にある椅子に座って新聞を広げたのだった。
「なにもできない。なにも」

ラーメン屋から出てきた達也が撮影しながらふらふらと街を歩き回る。
警察に届けたところでロクに捜査してもらえないことはすでにわかっている。

今はただ、雄一の言葉を信じて待っていることしかできなかった。