雄一の説明に達也が黙り込んだ。
『この村では人工を増やすために子供作ってる。それも、まるで家畜みたいにな』
「嘘だろ……」

『俺も嘘だと思ってた。でも実際にここに来て本当だとわかった』
雄一の声がひどく震えている。

「大丈夫か？　まさか、夏美ちゃんがそこにいるんじゃないだろうな？」
『わからない。子供から聞いた話だと、妊娠しやすい期間に入った女性はここで寝泊まりさせられるらしい。夏美が今どうなのか、わからない』

そんなの、その期間じゃないと願う以外に方法がなかった。
やがて女性部屋のドアが開いてさっきのふたりが女性を連れて部屋から出てきた。

雄一はその様子を背中に隠したスマホで達也に知らせた。
白い廊下を歩き、それぞれが個室へと入っていく。
最後に鍵がかかる音も聞こえてきた。
『もしここに夏美がいたら、助けなきゃ』

「入っても大丈夫なのか？」
『さっきの男たちも子供もそうだったけど、おそらく村の人たちは村にいる人を把握してないんだ。知らない顔がいても、都会みたいに受け入れてくれる』