「あぁ。ってか人の話し聞いてるか? なんで俺がいないときに勝手に夏美の部屋に入ってるんだよ」
「なんでって大学の製作だし、必要なことだし?」
「雄一、私のお母さんも達也くんに来てほしいって行ってたの。3人でいたときのほうが、私が楽しそうだからって」

夏美の説明に雄一はムスッとした表情で黙り込んだ。
「ありがとう夏美ちゃん、助かったよ」
ふぅ、と達也のため息が聞こえてくる。

それから達也は雄一の腕を掴んで部屋の隅へと移動した。
「そんなイライラすんなって雄一。別にふたりの邪魔なんてしないって」
「もうすでに邪魔だっつーの」

「そんな事言うなよ。実はこの前こっそり夏美ちゃんに聞いたことがあるんだ」
「聞いたこと?」
雄一の眉間のシワが更に深くなっていく。
夏美に妙な事を話したのではないかと、懸念しているみたいだ。

「お前のことをどう思ってるかって」
「な!? 余計なことするなよ!」
顔が真っ赤になり、それでも夏美に知られたくなくて必死に声を殺している。